生きづらさを感じる人が創る
のびアート
のびアートは多様な表現の場として
開設しています。
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こちら-
誰にも話せない傷
心の傷
財の傷
他の傷
誰かに話しをしても良い方向に
傾いていけるかわからぬ傷
全てを話したことで解消できるかわからない
そういうときに財は付いてきてしまう
財がない自分を引き摺り込む
なんて惨めで愚かか
まだ見えない明日を生き抜くまでが辛い
このまま日付が変わらないままでいたい
もし叶うなら
財に潤いをいっぱいにして
自分や家族に幸を取り戻して欲しい
あの時の幸せに戻りたい
心の傷、財の傷
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あなたの存在しない世界に、もう私の吸える空気はなくて
あなたが行ってしまった世界に、私もすぐうしろをついていきたくて
あなたの背中を見ながら、あなたの真似をしている
1秒たりとも、遅れを取りたくないあなたと全く同じことをする
私を「恩知らずだ」と、あなたは咎めるでしょう
それでもあなたの後ろにぴったりとくっついて
あなたの後を追いたいんだ、1秒の遅れもなく私はただ、ただ、あなたを失った
その状態がつらいだけ、ただそれだけ
私は別に、愚か者でも何でもないあなたの行ってしまった世界に、私も行けるように
あなたの真似するのを我慢するね
またね、その時は、
あなたが怪我をしたら、私がすぐ手当をできるように「またね」
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ねむい
眠りたくない
起きていたい
夜の闇と静寂の中で浅く息をしていたい
溶けて
透明になって
消えてしまいたい
そのまま眠ってしまいたい
誰にも見つからなくなって
ひとり静かに
穏やかに眠る
夢は見ない
どうせ現実にはならないから
深い眠りについたまま
いつか起きても
涙の跡はいらない
そっとほほえんで
夜の光に挨拶をする
それでもやっぱり
朝は来ない
白昼夢
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夢から醒めて
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瞼の裏側で、光が蠢く。うぞうぞ、芋虫のように這いずりのたうち、幾多もの脚を動かしている。ぶくふくと肥え太った躯をくねらせて、それはそこにいる。
不快感の塊のそれは、瞼の裏側に居て、目を閉じれば嫌でも浮かび上がってくる。
うぞうぞと動くそれは、今も瞼の裏にいる。眼球の丸みをなぞるように蠢き、存在を主張してくる。
不快でしかない白い、黒い、体躯をくねらせながら、いつだってそこに居る。
居ないときはない。けれど、見え辛い時はある。はっきりと認識出来てしまうのは、精神的に参っているからだ。
疲弊がそれを、形作っている。取り除くことは出来ない。
今日もそれは、瞼の裏側でのたうって、疲弊の理由と向き合えと、逃げることは許されないと、突き付けてくる。
それが一層、こちらを苦しめて、悪い方へ、悪い方へと思考を連れて行く。
そうされながら、必死に告げた言葉を、人は異常者だと言った。
瞼の裏側のそれは、いつだってそこでのたうち、蠢いている。瞼の裏側
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部屋に入るなり
君はベッドに倒れ込んで
突っ伏して 泣いた
コーヒーカップが倒れて
ぐちゃぐちゃなミニテーブル
真っ暗な夜、動けなくなった君
穏やかな波の音が
カーテンの向こうから響く君の手が、僕にそっと触れる
僕は
効き目のない抗不安薬なんだろう
でも
君は、いつも泣きながら、
僕を抱きしめてくれる
僕の名前を、口の中で小さく繰り返して「しにたい」
そうつぶやく君を
僕は救えるのかな…
波の音に君の嗚咽が混じって
いつも自信が綺麗に消えちゃう…だけど、
ううん、ずっと、救いたいんだ
効き目がなくたって、
本当はそんなこと、どうでもいいんだ
僕は、君が大切だから
ここにいるよ
人間ではないけど
話すこともできないけど
頼りないことは分かってるけど
君が僕を抱きしめてくれる限り
僕を必要としてくれる限り
いつも、そばにいるよふわふわな身体を、頼りないなって、
自分で嫌ってたけど、
僕の毛皮は、君が毎夜眠るために
何か、役に立ってるんだね人間でない身体を、頼りないなって、
君に申し訳なかったけど、
この僕の姿は、君が毎晩涙を見せられる
安心できる姿なんだね僕は、僕で嬉しいよ
そして、
君にも、自然体でいて欲しいんだ
誰が何と言ったって、
君は、一生懸命生きているよ君の涙を吸い取って、夜が明けて
また、海の見える窓辺で
君の帰りを待つよ人知れず
ぐちゃぐちゃに傷付きながら
ボロボロに壊れながら
生きている君を
僕はちゃんと知ってるよ今日も
「おかえりなさい」を
君に言いたい
いつもと変わらない
とぼけた顔で
君の痛みを
聴いていたい『stuffed toy』
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また絡んじゃった
絡み合うと すぐ除け者にされちゃうねごめんね なんでだろうね
上手くいかないねくるくる 糸が緩くなったり
くるくる 糸がきつくなるあー 難しい
努力はしてみるんだけど 絡み合うと
迷惑かけちゃうねふわふわ温かい
くるくる迷惑かけちゃう今日も それの繰り返しなのさ
除け者なんかじゃないよ
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わちゃわちゃ絡まった脳内回路 広げっぱなしの毛糸のよう
喜怒哀楽を丸めたとて 感情の収まりはつかないや
散らかったままのこの心は 日々何かを飲み込んでゆく
ああ「毛糸」か
一本に編んでほどくがうまく戻らない 絹糸のようにはいかないお前
玉のように丸まっても どうしようもないまま子猫に弄ばれるお前
ああどうやら俺も同じだ 程よく真面目に生きてはいるが 純粋な頃には戻れない
今のように丸まって悩んでも きっと誰かの思う壺な俺こうなったらもうさ、「毛糸」 お前にさえ憧れるんだ
一本の毛糸だったらば 一本気でいられたならば
どんなに良かっただろうか こうはならなかったんだろうか
転がるんじゃなくて ただ前に進みたいだけなんだ禍福は時に糾える毛糸の如し
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硝子ケースの中に悲しみが一つあった
飲み込むのは全てと 済し崩しの実像だけ
ブランコ上の星々達は メランコリーな誘惑をする
日々を嘆き 変えられない今に打ちひしがれる
それも俺だとふと気付いたんだ 曖昧なままに
儚い茨のツルと棘に 腕を晒したまんまだが
怪我して血が出た足だからか 前へと進むこともできやしない
黒い影が俺の腕を引いては「お前のせいだ」というんだ
人っ子一人いないな 漆黒の空は高くそびえたつ立つ壁のようで
やさぐれた俺の頬を一筋濡らすだけ
それでも 延々 蔓延るのは焦燥の刃と空白だけ
でも醜くないほうがいいんだろう?
子犬が一匹いたのだ 惑う間もなくそこに
段ボールの敷居を抜け 俺に助けを乞うたのか
怪しい光に 飼い主も捨て 掻き消して
電灯の下のブランコに 明るさ見出し導かれた
俺を問えるのは自分だろう 怪しい奇譚の中を歩いていただけなのか
世の中 「禍福」の「福」を見てるだけで片付くのかよ
甘い汁を吸う誰かさんと 虹の麓の狭霧だけだ
この世に背を向けること それが唯一の助けなのか
ああ何を捨てて何を拾うのか 懊悩吹き荒ぶ夜の俺はピエロ
泣く事しか今はできないのだ 暗い高架下に寄りかかって
電灯の影の下に蕾が一つ 脳裏にふと思い出すのは
過去との決別への願い ただそれだけなんだ
トタン屋根さえ穿つ雨 くぐもる雨音が耳を奪った
強まるだけで速まる心臓 遠くの稲妻の音が心地いい
森深くの夢に居たか あの幽霊に挨拶したいくらいだ
今、「同じ心境ですから」と
メランコリア