生きづらさを感じる人が創る
のびアート
のびアートとは?詳しくは
こちら投稿はアプリからできます。
-
メロディー3
-
メロディー2
-
メロディー1
-
序文
毎日暑いですね。そんな日々を少しでも潤そうとまた短歌を二首詠んでみました。
永遠(とわ)の愛 誓いの言葉 見守る目 乙女夢見る ジューンブライド
夕過ぎて 見れば三日月 鮮やかに 談笑(おしゃべり)楽し ここチャットかな
6月の歌
-
定休日
とあるそば屋の前で、二人の兄弟が話していた。
弟「ここはおかしなお店だね、兄さん」
兄「まったくだ、こんな貼り紙をしておいて」
兄が指差した貼り紙には、こう書かれていた。『定休日はありません』
兄「『定休日はありません』なんて書いておいて、このそば屋は開いていたためしがないんだ」
弟「入ろうとしても、戸に鍵がかかってて入れないしね」
兄「しかし、どうしてもこの店が気になるな。中に誰かいるはずなんだが」
弟「ここにインターホンがあるよ、ちょっと押してみよう」
弟がインターホンを押すと、『ブー』と音が鳴った。
弟「おかしなインターホンだね、兄さん」
兄「まったくだ、普通は『ピンポーン』のはずなんだが」二人が戸惑っていると、戸の向こうから、鍵が外れる音がしたと思うと、ガラッと勢いよく戸が開いた。
中から出てきたのは、不機嫌そうなそば屋の主人だった。主人「おい、おめえら、ひとの店の前で何してやがる」
兄「あの、このお店のお蕎麦をいただきに来たのですが」
主人「なにい?おめえは、この貼り紙が読めねえのか!」
弟「で、でも、『定休日はありません』って書いてありますよね」
主人「そうよ、なんか文句あるか?」
兄「そう書いてあるわりには、営業していたためしがないような…」
主人「ったく!最近のわけえ連中ってなあ、言葉を知らねえんだからな!」二人はけげんな表情で顔を見合わせた。
主人「いいか、『定休日』ってのは、どういう日のことだ?」
兄「ええと、一週間のうちの、ある特定の日がお休みですってことですよね」
主人「それが、うちには『ない』っつってんだよ」
弟「あのう…ちょっと意味が…」
主人「しょうのねえ奴らだなあ!」主人は、いらだたしげに、再び貼り紙を指差すと、こう言った。
「うちは毎日休みなんだよ!」兄弟は呆気にとられた
。
主人「特定の日じゃなくて、毎日休みなんだから、定休日がねえのは当たり前だろうが。だからこの貼り紙を出してんだよ。わかったか?」二人は返す言葉がなかった。
と、奥から、女性の声が聞こえてきた。
「あんた!さっさと食べちゃっておくれよ!お蕎麦がのびちゃうじゃないか!」
「わかってらあ!ちっと待ってろよ!」
主人はいらだたしげに答えると、再び兄弟のほうを見る。
「なにボケッと突っ立ってやがる。うちは昼飯食ってるとこなんだよ。用が済んだならとっとと帰れ!」兄弟はあわててその場を離れ、仕方なく向かいにあるラーメン屋で昼食をとった。
兄弟は、そば屋の件について、ラーメン屋の主人に話した。
ラーメン屋の主人は、感心したように、
「そうかい、いやね、おかしな店だなあと、うちも思ってたのよ。あんな貼り紙しといて、やってたためしがないんだもんね。しかし、そんなウラがあったとは、なかなかやるもんだなあ」数日後、兄弟は再び昼食をとりに出かけた。
例のそば屋のガラス戸には、相変わらず『定休日はありません』という貼り紙がしてあった。二人は横目でちらりとそれを見つつ、向かいにあるラーメン屋を訪れたが、ラーメン屋にはシャッターが降ろされていた。
二人が近づくと、シャッターには一枚の貼り紙がしてあった。貼り紙には、こう書かれていた。
『定休日はありません』
出演:兄、弟、そば屋の主人と奥さん、ラーメン屋の主人
作:友定休日
-
さらわれた
ある日の晩、ケビンは大慌てで友人のリチャードに電話をかけた
ケビン「大変だ、さらわれたよ」
リチャード「何だって!?誰が?」
ケビン「僕がやっちゃったのさ」
リチャード「君は人さらいをしたのか!?」
ケビン「まさか、そんなことするもんか」
リチャード「でも、さらわれたんだろう?」
ケビン「ああ、たったいま、さらわれたんだ」
リチャード「君は今、何をしてるんだ?」
ケビン「さらわれちゃったからね、後始末が大変なのさ」
リチャード「後始末だと…いいかケビン、君は大変な過ちを犯したんだぞ」
ケビン「わかってるよ、だから君に電話しながら、後片付けしてるんじゃないか」
リチャード「ケビン!!自分が何をしたか分かってるのか!
君は人を誘拐して、そのあげくに…ああ、何てことを。ケビン、お願いだ、自首してくれ」
ケビン「冗談じゃない、なぜ、さらわれたくらいで、自首しなきゃならないんだ」
リチャード「落ち着くんだ、ケビン。君は取り返しのつかない罪を犯したんだ。きみという友人を失うのは悲しいが、これまでだ。頼む、自首してくれ」
ケビン「よしてくれよ、きみこそ落ち着け。明日、新しいのを買ってくればすむことさ」
リチャード「ふざけるな!命がデパートで買えると思ってるのか!」
ケビン「命?なんのことだ?そりゃあ、食器売り場に命は売ってないさ」
リチャード「頭が混乱してきた…ケビン、もう一度説明してくれないか、何が起きたんだ?」
ケビン「きみもそそっかしいなあ。さらわれた、と言ったじゃないか」
リチャード「だから、誰が…」
ケビン「さっき夕食が終わってね、洗い物してたら、皿を落っことして割っちゃったんだよ。久しぶりにやっちゃったものだから、気が動転してね、ついきみに電話しちゃったのさ、『皿割れた!』ってね」リチャードは翌日、熱を出して仕事を休んだ
出演:ケビン、リチャード、割れた皿
作:友さらわれた
-
パリの夕暮れ
お客「やっパリ、パリ製のシャツは、パリがノリっときいてて、品質がいいねえ」
店員「お客様、『ノリがパリッときいてて』の間違いではございませんか」
お客「わはは、そうだね、ビン違いしていたよ」
店員「『カン違い』ではございませんか」
お客「わはは、とにかく、このシャツをもらうよ」
店員「では、あちらのレジでお会計を」
お客「なぜ金を払わねばならんのだ」
店員「なぜって、お買い上げでしたら、お支払いいただかないと」
お客「わたしは買うとは言っていないぞ、『もらうよ』と言ったのだ」
店員「お客様、それはビン違いですよ」
お客「『カン違い』の間違いではないのかね」そこへ、突然、酔っパリいが乱入してきて、シャツを踏みつけて靴跡をつけてしまった
「おっ、すまねえ、パリぃことしたな、じゃあ、あばよ」お客「見たまえ、シャチが汚れたじゃないか、どうしてくれるんだ」
店員「シャチじゃなくてシャツですよ、あなたが悪いんでしょう」
お客「なるほど、きみはたいそう気前のいい店員だ」
店員「どういうことですか」
お客「わたしが汚れたシャツを指さして『どうして、くれるんだ』と聞いただろう。そしたらきみは、『あなたが悪いからですよ』と言った。
わたしのせいで、売り物のシャツが汚されたにもかかわらず、それをわたしにくれるとは。きみはパリだ、もとい、リッパだ。きっと出世するよ。このシャツはパリがたくいただいておこう。これからも頑パリたまえ」お客は酔っパリいの靴跡のついたシャツを着て去っていった
その後ろ姿は、まるでシャツを着たシャチのようであった出演:お客、店員、酔っパリい、ノリがパリッときいたシャツ
作:友パリの夕暮れ
-
大地のはなし
小麦をね
何度も育てると土地がやせるんだって
やせた土地ではうまく作物が実らない
小麦を育てなければいいのかな
それじゃあフカフカのパンが食べられない
昔の人はかしこくて
土地を休ませたんだって
雑草だらけになってもう作物なんて実らないんじゃない?
ただ休ませるんじゃないんだよ
まずは牧草を植えるんだ
牧草じゃあお腹の足しにはならないよ
食べるのは牛とか家畜
牧草を植えた次の年に放牧するんだ
なんだ動物の餌を育てたのかい
その動物が牧草をたべてフンをするだろう?
そうすると栄養に満ちた土地になるのさ
そこでまた小麦を植えるのかい
そうだよ
大地はまた一生懸命おいしい小麦が実るよう栄養を与えるんだ
一度小麦がつくれなくなっても大地はゆっくりと回復する
休んでいるようにみえるけど
じっと蓄えて待っているんだよ
フカフカのパンはとどいたかい?
~~~~~~~
自由口語詩
生まれてはじめてつくった詩です。
大地のはなし
-
パリの風景
お客「やっパリ、パリのおせんべいはパリッとしていて、美味しいねえ」
店員「どうもパリがとうございます」
お客「最近、パリきって商売してるかね?」
店員「いえ、お客さんがさっパリこなくて」
お客「ならばわたしがたくさん買ってあげよう、そのかわりパリ引きしてくれたまえ」
店員「それはできません、よくパリですよ、きっパリとお断りします」そこへ、酔っパリいが乱入してきて、おせんべいを踏みつぶしてしまった
「おっ、すまねえ、パリぃことしたな、じゃあ、あばよ」
お客「あいつめ、パリ倒してやろうか!」
店員「まあまあ、お客さん、そんなにパリパリしないで、これからも頑パリましょう」出演:お客、店員、酔っパリい、パリパリのおせんべい
作:友パリの風景