経験談

生きづらさを感じる人が語る 経験談

経験談はそれぞれの投稿者の個人的な価値観や感じ方をそのまま掲載しています。一部、リアリティのある描写や強い価値観が含まれるため、読む人にとっては負担等を感じる場合もあります。各自の判断で閲覧してもらえるようにお願いします。

恵まれた家庭で育ったはずなのに死にたい

私は普通の家庭で育った。母も父もいて家庭内暴力や借金、浮気や不倫などもない家のひとりっ子だった。不幸な境遇でもないし寧ろ恵まれていると思う。
ただひとついうなら、我が家は親戚も含めて宗教一家だった。小学生くらいまではわたしも行事に参加させられていたがなんとか出なくていい事になった。けれどここでわかったのは母に反抗して理解を得るにはとてつもない時間と労力が必要になるということだった。約3、4年の間ほぼ毎週宗教関係の出席を拒否すると怒鳴られた。小学生の頃社会科で教わった信教の自由を声にしてもダメだった。叩かれたりもした。
叩くといってもアザが残るほど叩いてないでしょ、ペチンと叩いただけじゃないというのが母の口癖になった。確かに傷になるものはひとつもない。けど叩かれて泣いてしまうのは身体的な痛みではなく精神的な痛みだったのだと思う。
母に叩かれることは中学生になってもしばしばあった。というのも中学生になりバスケ部に入ったのだが、私自身運動が苦手だったため努力をしてもなかなか実らず、それを先輩や上手な同級生にからかわれて嫌味を言われる。私は自分の努力不足だとさらに自分を追い込んで自主練する。しかし成果が出ない。それを繰り返しているうちに私は自律神経失調症になり部活はおろか中学校も不登校になった。それを見かねた母が学校に行きなさいと私を叱って責め立てるのだ。部活は退部にして学校には行けばいいじゃないと言うのだが学校では部活の同級生とも会うのだ。知らんぷりすればいいじゃないと言われるが私にはそれが出来なかった。そんな揉め合いが続き母にはよく叩かれた。過呼吸もよく出た。母に過呼吸はどうせわざとじゃないの?と1度言われたことをよく覚えている。なぜだかそれがすごくショックだった。
その時父親はというとご近所迷惑やからいい加減にしなさいと言った。私がどんだけ叩かれてて庇ったり辞めさせようとしない父親なんだ、とそう思ってしまって以来、父親というより同居人の他人という感覚に陥ってしまっている。
つまり私には居場所がなかった。家も怖い学校も怖い不登校の身で外に出るのも辛かった。
心療内科でカウンセリングを受けさせてもらっていたが、それも高い高いと母に愚痴を聞かされ続け、あんたが学校に行けるようになると思ったから通わせたのに!と言ってカウンセリングは打ち切りにされた。また心療内科の先生には母の相談をしていたのだが、それを母本人にバラされてこっぴどく家に帰ってから怒られた。大人のことを信じられなくなった。
そして不登校から半年くらい、私は久しぶりに学校に行った。本当はまだ怖かったけど行くという約束をさせられてしまった。その後は週に2日くらい休みを繰り返しながらもなんとか卒業した。
中学の同級生の少ない高校に合格もして、今度こそ頑張るぞ!と思ってバレー部に入った。
けどそこでもダメだった。下手だから他の子にはよく思われてなくて、多分陰口は言われてなかったんだろうけど、過去の経験もあり皆に嫌われていて仕方ないような気持ちになった。
そしてこれも同じく不登校になり、また母と揉める毎日が続いた。なんで私は集団に上手く馴染めないんだろう、皆は普通にできることが私にはできない。それは今もずっとそう思っている。
中学と大きく違ったのは高校は単位があること。出席日数の足りない私は通信制に転校することにった。その時は母は勿論、父も参加しての大モメ。当然私はまた家に居場所がなくなった。ただ今回は男に居場所を求めてしまった。
SNSで知り合った優しい言葉の男に私は依存するようになった。この人の隣しか私の居場所はないって本気でそう思っていた。その男の返信を四六時中待つ日々が始まった。でも私は遊ばれていただけでいつしか連絡が取れなくなった。私は毎日何が悪かったのかを考えて夜中になると毎日号泣する日々が1年ほど続いた。今思うと鬱だったと思う。
それからなんやかんや、今は大人になり医学部の大学生となった。しかしそれも母親が昔からずっと私に言い聞かせてきた医者になりなさいという言葉により敷かれたレールを進んでいる。
度々母と揉めると誰の奨学金のために働いてるの!?医学部は最終的にはあなたが選択した道でしょ?と言われる。それ以外の選択肢なんて実質私には与えてくれなかったのにね。父親は相変わらず毒にも薬にもならない存在。
ここまで色々と話してきたけど、傍から見たら両親が揃っていて学費までも払ってくれる優しい家庭なんだ。それを生きづらく思い、勝手に毒親かも?などと思っている私はなんて親不孝者なんだと思う。世の中にはもっと複雑で苦しい家庭がゴロゴロあって私は恵まれている方なんだと。
でも結局今も男に依存してしまう癖がやめられなくてその度に鬱や不安障害になる。ハードな医学部を目標もないままただ努力し続けて、更に空いた時間は全部水商売に行ってお金を稼ぐ。人はいつ裏切るかわからないから。無償の愛が欲しいのに無償の愛が何よりも怖くて相手の求めるものを絶対提供しないといけないって気持ちになる。
私をこうさせたのは環境か私の性格なのか。わからないけど毎日死にたいなって思いながら今も生きている。

感想1

まず率直に驚いたのは、小さいころから現在医学部に至るまで、あなたが深く傷つきながらも、歩みを止めずにここまで過ごしてこられた、ということでした(あなた自身の感覚とはもしかすると違うのかもしれませんが…)。
怖いながらも中学校に再登校し、高校で再びバレーに取り組み…そして今現在も、医学部というおそらく相当ハードな学生生活を過ごしている…。
客観的に聞いていると、「もう無理だ!」とすべてを投げだしたくなったり、心身ともに根元から折れてもおかしくないくらいの家庭環境に思えるので、「一体どうしてそんなに頑張れるんだ…」と不思議なほどでした。

ただ、何度も文章を読み返していくうちに、そもそも「頑張り続ける」「進み続ける」以外の選択肢は持てない、許されない、そんな圧が家庭内に強くあったのではと想像が膨らんでいきました。その圧は、母親さんの傲慢さ、そして父親さんの無関心からくるものではないかと想像します。そういった意味で「あなたの苦しさは、決してあなたのせいじゃないと思う」と、私は強く伝えたくなりました。
(ご両親を批判・糾弾したいわけではないのですが、それでもやっぱり、「あなたが持っているはずの力を奪っていったように感じられてならないのです…)。

だからこそ…あなたが冒頭と締めで「恵まれている」「やさしい」「普通の」家庭である、と書いていること、家庭環境を糾弾するのではなく「自分が悪いのか」という気持ちを持ち続けている(ように読み取れる)ことが、とても印象的で、あなたの深い死にたさに繋がっているように感じました。

パッと見は、やさしくて、問題のない家庭なのかもしれません。でも、学校に行かない・部活が思うように上達しない…などいろんな形で、あなたは「苦しい」とSOSを発してきたんじゃないかと思います。そこで周りの大人が声をかけて、あなたの居場所を作ろうとしてこなかった、「わかりにくい問題に気づけない(見ないふりをする)」社会に対して、とてもやるせない、悔しい気持ちになりました。
同時に、あなたのSOSは今もなお続いているのかなとも想像しています。目の前で何か伝えられないこの距離感をもどかしく思いながらも、あなたが言葉を尽くして書いてくださった「目に見えづらい苦しさ」について、考え続けていきたいと思っています。
投稿ありがとうございました。

感想2

何度も文章を反芻させながら読ませてもらいました。
このお返事を書いている今も、咀嚼をしつづけながら
また一番しっくりくる言葉は何だろう、と選びながら書かせてもらっています。

率直な感想になってしまいますが、状況を客観的にとらえつつ
ご自身が感じてきたこと・経験してきたことを非常にわかりやすく言語化されていてその力に圧倒されました。
こうして言葉にしたり、文字にしたりしてご自身の中で整理して、生き抜いてこられたのかな、と想像しています。

皆ができることが自分にはできないと感じること
「普通」に「恵まれている」とあなたは思っている家族の中でも生きづらさを感じていること
無償の愛がほしいけどそれを受け取るのが怖いこと
あなたがこれまでしてきた経験と感じているいろいろなことが
ひとつずつあなたの傷つきになっているような、そんな印象です。

大人への不信感を募らせながら過ごしてきて
その大人に自分がなっていくことのこわさもあるのかしら、とも思っています。

あなたの文章を読ませていただいて、客観的にあなたの状況をとらえると
決してあなたは親不孝ではないと思いますし、
あなたのせいで今この状況になっているのではない、と個人的な意見ですが思っています。
(恵まれていて普通の家庭、というものの定義は非常にあいまいなものですし
仮にその環境であったとしてもしんどさを感じることはあるし、その気持ちは否定されることではないと思います。)

誰よりも自分に厳しいのはあなた自身でなくてはならず
あなたが悪いと思わないと
あなたがもっと努力をしないと、と
思わされるような環境だったのではないでしょうか。
一方でその中で、集まりにいきたくないと抵抗したり、学校にいかないことを選んだり
ハードだと感じながらも今も医学部に通っていたり、あなたはその時できる最善の策を選べる方でもあるのだ、と私は思います。

男性への依存も、あなたは苦しさを感じていると思うのですが
生き抜くためにあなたが見つけた一つの方法で
そうやって方法を見つけていきていく、あなたの底力を(勝手に)感じています。

今の状況は、これまでの環境要因もあると思いますし
社会が押しつけてくる「こうあらねばならない」という価値基準もそこにのっているように感じます。
あなたが今は自分に原因を見出していることをもう少し分解してみるとまた違うものが見えてくるのかもしれないなあ、と感じた次第です。

またあなたせいで今の状況が生まれているわけではない、と感じている人がすくなくともひとりはここにいることを、どこか頭の片隅に置いてみてもらえたら嬉しいな、と思いました。

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