経験談

生きづらさを感じる人が語る 経験談

経験談はそれぞれの投稿者の個人的な価値観や感じ方をそのまま掲載しています。一部、リアリティのある描写や強い価値観が含まれるため、読む人にとっては負担等を感じる場合もあります。各自の判断で閲覧してもらえるようにお願いします。

セーフ?アウト?

私は中学3年生(受験生)の、男子です。男子、と言っても、心だけです。体は、心に反して、女性です。

私は最近、慢性的に死にたいと思います。それは、数多原因はありますが、大きく挙げるとするならば、父の存在です。

私の父は、公務員です。本当は、ラーメン屋になりたいんだそうです。いつも、仕事に関する愚痴と、自尊心を満たすための、功績自慢をしています。例えば、「職場の〇〇って奴がブスで気分が悪りぃ」とか、「お父さんはなぁ、この間のとき…」といった調子で、延々とお話してきます。私は、人が悪口を言われているところを聞きたくありません。それは単に暴言が嫌いというものなのか、自分が言われているような気になってしまうのかは、自分でも分かりません。ですが、兎に角不快です。心がわぁっと黒いドブのような吐瀉物を吐きながら叫び出してしまったかのように、不快です。

それに、父は、ヒステリックです。感情の乱高下の幅が、常軌を逸しているように感ぜられます。自分の機嫌がいいときは、歌います。TikTokで流行った音源だったり、はたまた昭和の歌だったり。冗談も、言います。ですが、機嫌の悪いときは、暴言を吐かれます。妹、姉、私を居間に座らせ、ひたすらに暴言のパレードをします。私は、学校にあまり行けていません。だから、私は駄目な子だ、とか、出来損ない、とか。口先ばかり、小賢しい、生意気、所詮中学生、糞餓鬼、調子乗ってる、可愛くない、性悪。それは、嫌という程、私の心を蝕みます。死ね、死ね、死ね。そう言われているようにも、思えます。本当に機嫌が悪い時は、殴られます。叩かれます。父は、親指とその他の指で私の両頬を掴み、私を宙ぶらりんにします。呼吸が、難しくなります。心臓が千切れんばかりに脈を打ちます。思い出すだけで、心臓が強く脈を打つくらい、怖いです。嫌です。ですが、我が家では、父がルールです。つい最近、言われました。

「お前ホンットに母親の悪いとこ受け継ぎすぎなんだよ。最近、お前、父親を舐めてるよな。いいか、俺はお前を無理矢理学校に行けなくすることもできんだ。受験だって、高校だって、受けさせなくすることができんだ。お前は俺に生かされてるんだ。誰のおかげで生活ができてる?なぁ、おい!この生活を当たり前だと思ってんじゃねぇぞ。俺は知ってんぞ。お前、話聞いてるふりしてるだけで、聞き流してんだろ。なぁ?クソガキよぉ。お前は異常だ。部活だってお前の甘えで辞めたよな?甘いんだよ。甘い。ゲロ甘だ。父親を舐めんじゃねぇぞ?お前なんかいつでも殺せるんだからな」

と、言われました。父は、始終怒鳴っていました。私を馬鹿にしたような声色で、ずっとずっと私を罵りました。ときにねっとり、ときに爆発したかのような声で、話しました。2時間、こんな調子で怒鳴られました。そのあと1時間、諭されました。

「お前は俺に似て頭が良いんだから、もっとできんだろ?なんでお前は俺のこと信用してくれないんだ?」

心底気持ち悪く思いました。先程迄足音を轟かせ、ドアを破らん勢いで開閉し、家の中を怒鳴り散らし掻き乱していた人間を、どう信用すれば良いんですか。しかも、私は馬鹿なので、過去に父を信用し、私の性別について相談を持ちかけたことがあるんです。そしたら、

「お前はお前なんだから、性別なんて関係ないだろ?」

と。違う!「この性別」含め私なんです!男子になりたい、学ランが着たい、男子になりたい!でも聞き入れてはくれませんでした。私のことを女の子だと信じ込み、事あるごとに「俺の娘」と言ってきます。これはもう、信用どころの話ではありません。自分の話をまともに聞いてくれず、自分の意見の押し付けばかり。これのどこが信頼に値するのですか。限界です。父と同じ空間に居ると眩暈がするんです。頭が痛くなるんです。死にたくなるんです。逃げ出したいのに逃げられないんです。これは脅しじゃないんですか。脅迫じゃないん

ですか。いつでも殺せるだなんて。やもすれば自分のことを殺すかもしれない人間と一つ屋根の下、安心できる場所などありません。父のことを考えるだけで、胸がすり減っていきます。あの大きな足音、溜息、あの人の衣擦れに至るまで注意し、機嫌に応じた対応をし、まるで接待です。ここはキャバクラか何かですか?家庭とは、父親のためにあるものなのですか?私には正解の家庭の形が分かりません。もしかしたら、これが正解なのでしょうか。これはまだ良い方なのでしょうか。アニメや漫画で見る、「暖かい家庭」というのは、幻想なのでしょうか。暖かい家庭を目指して歩み寄ろうとしても、駄目でした。彼にとっては、これが正解の形なのでしょう。改善の余地はありません。母は、父の傀儡です。父に言われた通り、言われたことをします。時々、愚痴を言います。父についてだったり、祖母についてだったり。離婚すれば良いのに、というと、苦笑いで流されます。私は、本気だったのですが。祖母は、母をいびります。母は過去に、「娘を置いて出て行け」と祖母に言われていました。母もその時は流石に、「私は孫を産む機械ではありません」と反抗していました。妹は親に対し反抗的、姉は考え方に少し歪みがある(父に似ている)ので、父にあまり可愛がられていません。私は、そんな家族の愚痴を聞く係です。人の愚痴を聞くのはあまり好きではありませんが、そうでもしないと家庭の均衡が保てないんです。私たちは、機能不全な家族なのでしょうか。セーフな家族なのでしょうか。一人考えを巡らせて、今日も疲れました。明日も、明後日も、こうして疲れるのでしょう。こんな調子で、私は真っ当な大人になれるのでしょうか。不安でいっぱいです。だからといって、どうもできません。子供ができることなんてたかが知れています。せいぜい先生に相談するか、押し黙ってがまんするか、一家心中か、いっそ父を殺してしまうか。そんな選択が頭を巡ります。巡って、巡って、何もしません。できません。私には先生に相談する勇気も、心中する勇気も、人を殺す覚悟もありません。父だって、戸籍がある限り、人間です。動物界、せきつい動物門ほ乳綱霊長目ヒト科ヒト属ヒトに分類される限り、人間です。それを殺める覚悟も勇気もない、意気地なしです。でも、どうしましょう。もう限界です。私は、もう死ぬしかないのでしょうか。それとも、このように無意味な思考を展開し、勝手に苦しむしか無いのでしょうか。そもそもこのくらいで苦しい、だなんておこがましいのでしょうか。これはまだセーフなのでしょうか。もう、私は何をしたらいいんでしょうか…?

感想1

表現や着目点が個性的で、心惹かれる経験談でした。そして、自分の過程の様子を実によく観察していると感じました。なかなか鋭い洞察力とそれを表現する独特のセンスがあると感じました。特にせきつい動物門ほ乳類霊長目人ヒト科ヒト属ヒトの分類の表現はそう簡単に出てくるものではないです。(生物好きなんですか?私も生物が好きで、図鑑大好きな子どもだったので、ちょっと嬉しくなりました)
表現の魅力はいったん置いておいて、書いてある内容について感想を書きます。お父さんは常識の範疇をはるかに突き抜けたふるまいだと思いました。あなたがつけてくれたタイトル「セーフ?アウト?」で答えると、親としては完全にアウトだと思います。あなたも書いてくれた通り、人間ですから人権や人格は否定しませんが、親としてのふるまいはアウトとしか言いようがないです。ただ、あなた自身はそんな父親に対して明確にノーという姿勢なのが救いに感じました。自慢話をされたときの「兎に角不快」であったり、暴言を吐かれたときの「心底気持ち悪く思いました」、そして、自分の家を「ここはキャバクラか何かですか?」と表現する感性など、どれをとってもあなたが自分でいようとする強さの表れだと思っています。
最初に慢性的な死にたさがあること、そして、最後の方では、もう限界です、死ぬしかないのでしょうか?とあります。まだ、子どもで守られる権利がある中で守られるべき家庭の中でこれだけの仕打ち(暴力、暴言、人格否定など)を日常的に受けているのですから、そういう考えになっても全然おかしくないと思います。おかしくないというより、死にたくなるのももっともなことです。「こんな調子で、私は真っ当な大人になれるのでしょうか」という問いかけがありましたが、私はあなたのように自分の感覚や感情、考えがある人は真っ当な大人になる素質がおおいにあると思います。ただ、あなた自身が不安に感じている通り、今のような生活を続けていたら、ダメージを蓄積していくことが予測されるので、私も心配です。
まだ、中学生ではありますが、家を出て、家以外のところで生活する道を選択する気持ちはありませんか?今の日本の制度では社会的養護といって、権利侵害を受けている環境から抜け出して、施設や里親、その他(高校以上になると自立援助ホームという下宿のようなところもあります)で暮らすことができる仕組みがあります。相談したら親にバレて大変なことになるのではないかと心配するかもしれませんが、あなたのように意思をしっかりと持っていて、中3という年齢を考えると、あなたの意思や意向を尊重して相談を進めてもらう配慮も受けられると思います。そうはいっても、心配で相談できないという場合は死にトリに連絡ください。安心して相談できるところを一緒に探したいと思います。
子どものあなたでもできることはたくさんあります。こうしてあなたらしい経験談を書いて送ってくれたのですから、自分の力を信じてもいいと思います。そして、死にトリもできる限り応援します。

感想2

家族の愚痴を聞く係になっているのですね。ラジオで「家庭のなかで一番優しい人が、家庭の中の理不尽を引き受けることになる」と聞いたことがあるのを思い出しました。決めつけるわけにはいかないと思いつつも、家族のみながあなたに甘えているように私には映りました。もしかしたらですが、父は職場などではとても良い人に見えるのではないでしょうか。職場など家族以外の人間関係では自分を抑圧してストレスをためて、家族に暴言暴力を振るうことでストレスを解消しているのだろうと想像しました(父の言動を肯定するつもりはありません)。

「セーフか?アウトか?」という投げかけについてですが、「父はアウト。家庭内の環境もアウト。あなたはセーフ」と私は思いました。私の知識や経験によると、父の振る舞いはいわゆる児童虐待の定義に当てはまるものだと考えます。父があなたにしていることを読んでいるだけなのに、心臓がドキドキして頭がしびれて白くなりそうな感覚になり、「誰か助けて!」と叫びたい気持ちになりました。

あなたはセーフと私が感じたのはなぜか。まだ我慢できるでしょう、というような意味のセーフではなく、人として真っ当だと感じたのでセーフと表現をしました。あなたが見聞きしてきたこと、感じたことを私は信じます。この難題に取り組もうとファイティングポーズを構えているあなたの姿を勝手に想像しながら・・・続編(あなたの人生のつづき)をまたいつか聞かせてもらえる機会がありますように。

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