経験談

生きづらさを感じる人が語る 経験談

経験談はそれぞれの投稿者の個人的な価値観や感じ方をそのまま掲載しています。一部、リアリティのある描写や強い価値観が含まれるため、読む人にとっては負担等を感じる場合もあります。各自の判断で閲覧してもらえるようにお願いします。

負の感情のせいですべてがうまくいかない

こんにちは、二年前に経験談を掲載していただきましたものです。今回また投稿させていただきます。
自閉スペクトラム症があり、感覚過敏のため学校は極めて居心地が悪かったです。そして人とのコミュニケーションが苦手で感情のコントロールができなくて、学校ではいじめられることが多かったです。家では祖母から目の敵にされ、常に否定されました。母からはとても疲れやすく、出かけるとほぼ毎回体調を崩したり、慢性的に体調不良があるにもかかわらず心が弱いだけで体は丈夫だと言われつづけていてつらいです。

私が困っていることとして、怒りや不安などの負の感情がわくと頭の中がそれでいっぱいになってしまうようになり、制御できなくて様々な問題行動を起こしてしまいます。特段嫌なことがなくても昔のいやなことを思い出して頭から離れなくなります。
今まで起こした大きな問題行動として次の4つがあります。出来のいい健康な妹への嫉妬が止まらず暴力や無視をしてしまった。常に自分を否定する祖母に耐えられず祖母を殺して私も死のうとしたこと。読んで嫌だった漫画のことがひっきりなしに頭に浮かんできてインターネットに攻撃的な書き込みをしてしまったこと。会社の新入社員研修の担当者の不快な言動に耐えられず研修に出られなくなってしまったことです。
負の感情にとらわれると制御ができなくなり、それをコントロールしようとインターネット検索依存になってしまっています。何をしてもこの不快なことから逃れられません。楽しいところに出かけたほうがいいと思い出かけても、途中で嫌な思考がわいてきて楽しめなくなってしまいます。小説や漫画を読むとその時だけはわいてこなくなりますが、終わってしまうとまたわいてきます。特に仕事や勉強などをしているときは現実逃避して逃れることができず苦しいです。この負の感情の暴走から逃れたくて、高校生くらいから死にたいと思い続けてきました。しかし自殺に失敗した場合の他人への迷惑や、体に障害が残りさらにつらいことが増えると思うと踏み出せません。以前ニュースを見て負の感情が高まって自分の頭をたたいたり、電車で叫びだして、スマホを床にたたきつけたり、壁に頭を打ち付けたりしてしまったこともありました。このような問題行動を起こすことを防ぐためニュースを徹底して避ける必要があり、常にニュースを警戒しなくてはならずとても疲れます。ニュースを見なくても過去に見たニュースや嫌な漫画や小説のことが浮かんできてしまいます。もう生きるのがつらいです。

現在までの経緯をまとめると以下になります。大学二年生から不眠症となり、日中の眠気がひどくて勉強に集中できなくなってしまいました。精神状態が悪化して祖母を殺して私も死のうとしたことがきっかけで、母に連れ出されて別居することになりました。別居しても不眠症が長く治らず、日中まともに起きていられないため、就職できないので十年も大学に居続けることになってしまいました。3年前より処方された睡眠薬のおかげで、日中の異常な眠気は改善しましたが、大学のプレゼンを聞くとどうしても眠ってしまいました。プレゼンの内容が理解できないから寝てしまうのだと思い勉強しようと思いましたが頭の中に読んで嫌だった漫画や不快なニュースのことなどが絶えず浮かんできて集中できなくてダメでした。またもともと無理して入った大学なので、研究ができる知力がありませんでした。卒業論文は出しましたが、その実態は英語が全くできない私は実験だけ行って、執筆は別の人がした論文が、私の名前で発表され高い評価を受けてしまい、ばれるのが怖くて大学院を逃げるように卒業しました。
その後、ハローワークの紹介により今年の四月から障碍者雇用で特例子会社で働きましたが、新入社員研修の担当者の不快な言動がきっかけで研修中強い死にたい気持ちに襲われるようになりました。途中から研修に参加できなくなったものの職場に配置されましたが、仕事中ひっきりなしに研修の担当者の不快な言動が頭に浮かんできたり、嫌だった漫画やニュースのことが頭に浮かんでくるようになりました。毎日メンタルと体調の報告義務があるのでメンタルがよくないことを書いたら会社の定着支援と面談となりました。定着支援は全く私の話を聞かず、高圧的に意見を押し付けてきて、私がそれを受け入れるまで面談室から出してもらえなかったです。そのため定着面談が増えないように健康状態をよくしようと頑張りましたが、時間的にも金銭的にも負担が増えるだけで、改善しませんでした。それどころかドライアイや頻尿、肌の炎症によるかゆみ、体が熱くなって夜中に目が覚めて眠れなくなり、毎週のように病院に行くことになってしまいました。改善しない健康状態によって精神的に不安定になり、趣味を楽しんでいる母にイライラすることが増え、そんな自分に自己嫌悪がわきました。常に体調が悪いのと通院の負担で疲れ果て、休日は最低限の家事をするのがやっとの状況でした。そんな中入社三か月目ということで、不安に思っていることなどをシートに記入させられました。そういう提出物が多かったので油断していましたが、それは定着支援との面談でした。面談では疲れてできないと言っているのに一方的にリフレッシュのため趣味などを始めることを強要されました。さらに、一方的に業務量を減らすよう上司に伝えることを命令されました。そして今後の研修への不安については、努力するのは社会人としての義務だといわれ、努力が足りないといわれました。そしてそんなんでは、職場環境が変わったらやっていけないといわれました。20分の面談のはずが2時間以上拘束されました。それから一週間ほど会社に通いましたが、帰り道はいつも涙が止まらず、一度など職場で泣いてしまいました。通っていた就労移行支援の人を交えて話したとき、定着支援から今度は産業医と会います約束するまで部屋から出さないといわれ、パニックとなり就労移行支援の人連れ出されて、そのまま休職となりました。

現在休職一か月になろうとするところです。新しく仕事を見つけなくてはと思いますが、仕事をすると、また体調不良と負の感情に苦しめられる状況になるのが怖くて働くことが嫌です。不安からインターネット依存症が再燃してきています。夜になると気持ちが落ち込んで母に自分がいかにダメかと言い続けてしまい、嫌がられているのはわかってますけどやめれません。子供のころから社会でやっていけないといわれ続け、今回ダメなことが突き付けられてもう死にたいです。

感想1

あなたが感情や刺激にたくさん振り回されて、これまでとても大変な中、生きてきたことがよくわかりました。周囲から見ると、あなたの問題行動やできないことばかりが目立ってしまうかもしれませんが、こうしてあなたが感じてきたことを書いてくれたおかげで、内面を知ることができました。そして、幼い頃からこの辛さや大変さを理解してくれる大人がいてくてれたら、こんなに苦労をしなくても済んだかもしれない悔しい気持ちがわいてきました。そして、今、障がい者のための就労や定着支援という、いわゆる障がいや特性があるとわかってサポートを受けているはずなのに、あなたへの理解がなく、すれ違っている様子なので、歯がゆさを感じています。
これだけのしんどさを聞くと、これまで生きてきただけでも十分だと思いました。学校も苦しいことが多かったと思いますし、働くことに後ろ向きになったり、恐怖を抱くことも無理もないことだと思います。ただ、社会はそんな苦労を知らずに等しく働くことを求める圧力をかけてきます。あなたは自分自身の感情や周囲からの刺激に常に対処し続けるだけではなく、そうした無理解や圧力によってダメージを受けているのだろうと思います。死にたいと思うのも当然だと思いました。そして、これだけずっと苦しい思いをして、今も刺激のコントロールに悩まされているのに、そうした苦しみと無縁な人たちと同じ土俵で働きなさいと言われても、それはずいぶんと不平等だと思う私がいます。それはあなたには働く力がないという意味ではなく、力があるけれどそれを発揮するための環境や条件が厳しいので、少なくともあなたがパフォーマンスを発揮できるような理解や配慮があることが前提になると思いました。ただ、最初に書いた通りあなたの苦労は他の人にはなかなか理解されません。2016年に施行された障害者差別解消法では差別の禁止が定められ、差別の禁止の内容として「合理的配慮をしないことも差別」とされました。障がいのある人が生きづらいのはその人に障がいがあるからではなく、障がいがある人を理解しない、配慮できない社会の側に原因があるとする「社会モデル」という考え方が大切だとされています。それを考えると、あなたの人生は合理的配慮がないまま、できないことは自己責任にされることが多かったように思いました。あなたに合った環境や業務内容で働くことができたら…と思う気持ちと、そうした環境がないのなら無理をして働かなくてもいいのではないかとも思いました。そうした働くことが難しい場合の障がい年金という仕組みもありますし、何らかの支援に頼りつつ、無理のない範囲で力を発揮してもOKという社会になってほしいと思います。
ただ、あなたには局所的には秀でた能力がありそうだと思いました。大学院の論文のエピソードで代わりに英語のできる人と組んで論文を仕上げ、高い評価を受けたとのことで、確かに英語力のある人が執筆をしたとはいえ、それ以前の論文の構想を作り、実験をしたのはあなただったのではないかと思うと、何か得意なことはありそうだと思いました。論文のように自分の苦手なことを補ってくれ、その代わり自分の力を貸せるような仕事のパートナーが見つかったり、分業できるチームで得意なことを担当するなどすれば無理なく働く方法もあるのかもしれません。
いずれにしても、あなたのことを理解してくれて合理的配慮について一緒に考えてくれる人が必要だと思いました。すでに相談の担当がついているかもしれません。今回の経験談はあなたの生きづらさが非常にわかりやすく書かれていますので、次に誰かに相談するときにはここに書いたようなことを伝えてはどうかと私は思いました。また、これからも死にトリが必要だと思う時にはいつでも来てください。

感想2

私も自閉スペクトラム症で、負の感情のコントロールには苦慮してきたので、ものすごく自分事として読みました。私の場合は大きな行動に出ることなく今まできましたが、記憶や感情など内から湧き上がる負のパワーの大きさに対して、もうどうすることもできない…という感覚はとてもあります。
他の(たとえば定型発達の)人たちも、同じような大きさの負の感情に襲われたなら、多くの人が問題行動を起こすはずだと私は思うのですが、負の感情の大きさが目に見えないせいで、まるで私たちが自分をコントロールできないとみなされるのはずっと納得いっていません。

自閉スペクトラム症といっても、いろいろな個人差はあると思いますが、嫌な記憶が鮮やかに蘇りやすいこと、一度不快や負の感情が出てきたらそこにずっと意識がいって気をうまく逸らせないことは、結構共通しているように感じます。
だからといって、誰かを攻撃するような行動をしてもいい、とは勿論ならないですが、自分のやってしまったことを振り返って、どうにか改善したいと思っているあなたに、私は「あなたは悪くない」と声をかけたくなりました。人間は誰しも不適切な行動をしてしまうことがあると思うので、迷惑をかけた結果について謝罪する必要はあっても、不適切な行動をした人=悪い人 ではない、というのか…。祖母への強い感情、行動を起こしたのも、そもそも常に自分を否定されたからこそ起こったこと(祖母が否定しなければ起こらなかったこと)だと思いますし、ストレスが強くて行動が暴走してしまうのは、その人自身の問題というより環境調整に問題があると私は考えます。

会社からの扱い、的外れなリフレッシュのアドバイスや、「努力が足りない」などの言葉は、理不尽なものだと私は感じました。かつ、理不尽にも耐えるのが社会人、みたいなのは私は悪しき風潮だと思っていて、理不尽はなるべくそもそも無くすべきだし、理不尽なところからは逃げるが勝ちだとさえ思います。生きていれば、うまくいかないことや思い通りにいかないことがある、というのは私も勿論受け入れますが、「努力が足りない」と自分の物差しで相手を責めるのはマナー違反だし(自閉スペクトラム症が、生きてるだけでどれだけ努力してるか!と反論したい…)、限界を超えた人に(身体症状などからもあなたが限界を超えていることは明らかだったと感じます)それ以上の負担を強いるのも人道的ではないはずです。

どんな人も、自分に合う環境を理解すること、そして無理ない環境を整えることが一番大切だと私は思っています。仕事をするにしても、それはそういった土台ができた先で始めたい…そうじゃないとつらすぎる…と私は思います。今の社会は多様な人に合う環境を作れておらず、定型発達の人たちの多くも、居心地の悪さを感じたり、無理な努力をしていたり、日々削られて「自分はダメだ」と元気をなくしている気がします。
ちょっと自分でも話がよくわからなくなってきましたが、あなたのことがダメだとは私は思わないとだけは、とにかく言いたい気持ちです。経験談の投稿ありがとうございました。

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