誰かに大切にされていると思いたかった。
思えば、小さい頃の記憶が無い。愛された記憶を思い出せないから、きっとそんなものなかったんだと思う。
普通の家だと思った。お金は出してくれるし、休日に遊園地にも連れて行ってくれた。
でも、父親が沸点が低いタイプで、少しでも気に食わないと物を投げたり叩いたりしてくる。
勉強を頑張っても褒めてもらえない。テストで悪い点を出すと殴られる。
努力したって意味がない。
いつしか、努力する方法がわからなくなった。
子供には当たりが強くても、母親を大切にしているかと言われればそんなことはなかった。
しょっちゅう喧嘩しては、一方的に対話を拒否して出かけるような父親。
男性に大切にされるというイメージが分からないまま育って、恋愛で幾度となく傷付いた。
言わなくても分かってくれると思っていたけど、本当は「言ったら嫌われる」と怖がってただけだった。
捨てられるのが怖くて本音を言えないままメンタル的に潰れていって、愛想を尽かされて振られた。
愛されて育った人にこの悲しみは分からない。
初めて、私が「普通の家に見える破綻した家族」に生まれたと気付いた。
夫が妻を愛して、親が子を愛する。そんな「普通の幸せ」が、私にはなかった。
いつしか、元彼、知り合いだったもう一人とそういう関係になってしまうようになった。
異性として好きな訳じゃない。ただ、「こんな自分でも必要としてくれる」と、刹那的な承認欲求を満たすための自傷行為。他の人との自分の乖離を、体を重ねることで埋めようとした。
ここにいる間は、私のままでいられる。正しい形じゃなくても、愛してくれたと思い込んでいられる。
その後に残るのは、1人分の心の穴だけ。
街を歩くカップルが羨ましい。
私は、あんな風になりたかっただけなのに。
どうしてこんなに寂しいんだろう。
普通の人になりたかった。
自分の力だけで、前を向ける人になりたかった。
経験談はそれぞれの投稿者の個人的な価値観や感じ方をそのまま掲載しています。一部、リアリティのある描写や強い価値観が含まれるため、読む人にとっては負担等を感じる場合もあります。各自の判断で閲覧してもらえるようにお願いします。
普通になりたかった
感想2
幼少期の家庭の中が居心地のよい場所とはほど遠い環境であったことがうかがえました。両親が喧嘩をしていたり、父親が物を投げたり叩いたり、貴方のことを殴ったりしたのですね。読んでるだけで頭が痺れてくるような感覚を持ちました。自分には何かが足りないと思いながら今日まで歩んできたのではないかと、そのことがタイトルに表現されているのだと思いました。あなたにとっての普通は愛情を受けて育つこと、異性から大切にされることという意味なのだと私は理解をしました。
男性に大切にされるというイメージを持てないまま育ったとありました。母親やその他の大人から大切にされたという感覚はあるのか聞いてみたくなりました。幼少期に異性の親以外の大人が安心感を提供していた場合、親密な関係(体を重ねる関係)を築く際に何かしらの影響があるのか知りたくなったからです。やはり異性の親がキーとなるのでしょうか。
「普通の家に見える破綻した家族」に生まれたと気付いたとありました。普通に見える家族というのは、寂しさや子どものSOSが周囲に理解されにくく、暴言や暴力の被害にあっている当事者でさえも、自分の家の違和感を自覚することが難しい場合があると感じることがあります。あなたがそのことを自覚したのは何歳の頃、どんなことがきっかけだったのか聞いてみたくなりました。
愛されて育った人にこの悲しみは分からないという一文も心に留まりました。これまで交際してきた相手へ向けた言葉なのでしょうか。誰にも私の気持ちはわからないという意味を含んでいるようにも感じましたし、愛されて育ったであろう人への怒りのような気持ちが潜んでいてもおかしくないと私は感じました。
自分が大切にされていないと感じたときに相手を拒否したり、拒否することができなかったとしても、理不尽だと感じたり、怒りのような感情を抱くことができることが、前を向くことのできる要素の一つかもしれないと私は思うことがあります。
感想1
投稿ありがとうございます。
1人分の心の穴という言葉がとても印象に残り、そこはかとない寂しさが静かに伝わってきました。この感想を書いている今頃、あなたはどう過ごしているのかな…と会ったこともないのに思い浮かべています。そして“大切にされる”ということについて考えてみました。
ひとは、ひとりでいる時でも無意識に心の中のどこかに自分ではない誰か(パートナー、友人、親など)がいることでこころが安定しているものだと私は思います。そのこころの原型みたいなものは、幼少期の段階で自分を守ってくれる、大切にしてくれる存在との関わりによって積み上げられて、そこを安全基地としながらひとりで踏み出していくようなイメージです。(私の場合は、家が商売をやっていて、そこに来ている作業員のお兄さんが真っ先に浮かびます。よく優しく遊んでかまってもらったからかな)
あなたは家の日常が不安定な中で育ってきたことはお話の中から読み取れました。無条件で自分が大切にされたという感覚はない中で、父親が男性のモデルのようになってしまい、“男性は怖い“ということがこころの根底に刻まれたようにも思います。それと経験談を通してあなたのこころが寂しいということはわかりましたが、それ以外の気持ちがあまり書かれていないことが気になりました。きっといまのあなたに必要なのは、あなたのどんな気持ちも否定せずに聞こうとしてくれる存在かもしれません。あなたのことを大切に思う(受け入れよう、理解しようとする)存在。あなたのままでいられて、あなたのこころから居なくならない存在をすぐに見つけることは難しくても、寂しかった気持ち、それ以外の気持ち(あるとしたら)を少しずつでも繰り返し話ができる存在を見つけて欲しいと私は思いました。周りを見渡してもなかなかそういう存在が見つけられない時はまたここに立ち寄って欲しいです。きっと自分だけで前を向けるひとっていないと思うからです。