瞼の裏側で、光が蠢く。うぞうぞ、芋虫のように這いずりのたうち、幾多もの脚を動かしている。ぶくふくと肥え太った躯をくねらせて、それはそこにいる。
不快感の塊のそれは、瞼の裏側に居て、目を閉じれば嫌でも浮かび上がってくる。
うぞうぞと動くそれは、今も瞼の裏にいる。眼球の丸みをなぞるように蠢き、存在を主張してくる。
不快でしかない白い、黒い、体躯をくねらせながら、いつだってそこに居る。
居ないときはない。けれど、見え辛い時はある。はっきりと認識出来てしまうのは、精神的に参っているからだ。
疲弊がそれを、形作っている。取り除くことは出来ない。
今日もそれは、瞼の裏側でのたうって、疲弊の理由と向き合えと、逃げることは許されないと、突き付けてくる。
それが一層、こちらを苦しめて、悪い方へ、悪い方へと思考を連れて行く。
そうされながら、必死に告げた言葉を、人は異常者だと言った。
瞼の裏側のそれは、いつだってそこでのたうち、蠢いている。
瞼の裏側
ペンネーム : 羅志