のびアート

家に帰ってきたら
泥だらけの弟が泣いている
君はそばに近寄って
うんうんと話を聞いてあげる
いつしか弟は泣き出して
君も一緒に泣いてしまった

君は泣き虫 泣き虫なんだね
痛くて辛い家族のそばで
一緒になって泣いちゃうなんて

君は泣き虫 泣き虫なんだね
自分のことなんか気にせずに
笑ってくれるその時まで泣き続けている

テレビをつけたら戦争の話
今日も爆撃の音が流れる
君は黙って見入りながら
その惨劇を小さな頭で想像する
子供を奪われた母の号哭に
君も一緒に涙してしまった

君は泣き虫 泣き虫なんだね
知らない人でも寄り添いながら
一緒に泣いてあげられるなんて

君は泣き虫 泣き虫なんだね
自分のことなんか気にせずに
平和になるその日まで涙を流す

そして時が経って大人になって
周りはみんな馬鹿騒ぎ
喧騒の中 雑踏の中
君は誰にも見向きされない
一人ぼっちで交差点の中
独りぼっちで路地裏の中

泣き続けるんだ 「寂しい」と

君は泣き虫 泣き虫なんだね
独りになって苦しくて
誰も助けてくれなくて

君は泣き虫 泣き虫なんだね
誰かが笑ってくれるのが嬉しくて
そのために生きてきたはずなのに

だけど泣き虫 君は泣き虫じゃないよ
沢山の人を笑顔に出来た君だから
今からでもきっと遅くないさ

ねぇ泣き虫 笑ってごらんよ、ほら
だけどなんで僕を気にするの?
「今度は貴方が独りぼっち」って

そんな事ないよ ねぇ

見向きもされない曇り空の下
泣き虫同士は手を繋いだ
僅かに開いた空の隙間から
僕らを照らす希望が見えた

泣き虫の唄

ペンネーム : 砂糖菓子
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