のびアート

1日の終わり。これから、お風呂に入らなければいけない。

今の季節は寒いから、嫌なんだよなぁ。
そもそも、家族と共用のバスマットも嫌なんだよなぁ。
浴室の床も汚いし、素足で歩きたくないんだよなぁ。というか、全体的にこの家が嫌いなんだよな。ボロいし。
私は浴室に隣接している台所で、ストーブの前に意味もなくしゃがみ込み、ぐるぐると思考を巡らせていた。
それでも、どうにかして入らなければいけない。
嫌だと思ってはいけない。
気にしなければいい。
自分を律することに必死になっていると、厄介なことに死にたい気持ちもやって来た。
いろんな気持ちがぶつかり合って、息が苦しくなった。

頭の中に1つのイメージが浮かぶ。
自分の心が誰かの手によって、いらなくなった画用紙みたいにビリビリと引き裂かれていく。
あくまで、それはイメージだ。
心に痛みなんてない。
あったとしても、耐えて動かなければいけない。

私はそう言い聞かせて、動かないはずの体を動かし、立ち上がった。

無題

感想1

読みながら、一文一文ごとに、私の中でのイメージ上のあなたの映像が浮かび上がってきた感覚になりました。「はぁ…。」と、きっと毎回おなじみになってしまってるようなため息をつきながら、膝を抱えて…あるいはどこかに寄りかかる形でしゃがみこんでいる気がしました。様々な気持ちが休む間もなく押し寄せる中で、尚更に”嫌”が強く前面にでてきて、ストレスを与えられている様子も感じています…。心はもう何度もビリビリにされていて、物理的ダメージはなくとも確実に『痛み』はあるんじゃないだろうかと、作中の”私”の想いを勝手に受け取りながら、自分はそんな風に考えました。

感想2

お風呂って嫌だなあ……と自分も思います。「お風呂に入る」という行動がそもそも嫌なことに加えて、冬という季節によるデバフ、お風呂場がイヤという環境のデバフ……。それらの嫌な気持ちを抑えて「入らねば」としていると、ついには希死念慮さえ出てきて……という経験は、自分としても、とても心当たりがあります。嫌なことに耐えるために気持ちを押し殺し、画用紙のように心が引き裂かれていく感覚・動かない体をむりやり動かす感覚もとても共感しました。でも、このままだと本当に体が動かなくなってしまうかも、と勝手にハラハラしてしまいました。日常の嫌なこと、無くならないかな、あるいは上手いこと回避して暮らせないものかな、と私はいつも考えています。

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