のびアート

雨が降るこの街で
聞こえた言葉は
冷たく錆びた棘だった
傘を忘れた私の心は
傷の痛みに浸っていた
今日もまた癒えなかった
古傷が新しい傷になる
もう要らないよ
あなたの偽りの愛は
どうせまた傷が
増えるだけなんだから
私が私でいることが
そんなに悪いことなんだ
でもあなたの手で
消すのは怖いから
中途半端に傷つけて
苦しむ顔を見るだけ
私はあなたのために
生きているわけじゃない
あなたが私を嫌うなら
私から離れれば良い
私だって笑いたい
私は私のために
私で在るんだよ

「私は」

感想1

「あなた」に頼って生きてきたけれど、その愛を得るために自分を変容させたり、傷つかなければいけないことに気づいたのかな。誰かから無償の愛がほしいけれど、それが叶わないことに気づいたとき、そして、唯一私だけが私の存在そのものを受容することができると気づいたとき、一人であることと孤独であることが異なるものだと理解できるような気がします。

感想2

「私であること」をたしかめて踏みしめていくような詩だと思った。日本語は主語が溶け込んでいるような言葉で、だから「私は」と示すことは、あなたでなく、私のことを言うと明示する強いちからになる感じがする。情景からはじまって、「私」の心にとどいて、「あなた」との関わりを見つめながら、「私」の決意のような言葉で締めくくられる流れは、カメラが遠景から主人公にぐっとせまっていくようだと思った。「私」が体を冷やさなくていいような、雨宿りできる場所が見つかってほしい、と思った。

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