こえサーチ

みんなの声を集めたい こえサーチ

第34弾
自傷行為と援助希求について

こえサーチ第34弾「自傷行為と援助希求について」に寄せられたみなさんの声をまとめましたので、報告します。(コラボ企画のため、通常と異なり、取りまとめに時間がかかってしまいました。)

2023年8月20日~2023年9月19日に実施し、これまでで最も多くの969名の方に回答していただきました。ご協力ありがとうございました。 

今回は、自由記述の紹介はせず、データの簡易的な取りまとめのみとなりますことをご了承ください。

なお、この結果を無断転載することは固く禁止いたします。

参加者について

年代

参加者は、10代が31.5%で最も多く、20代が25.8%で、30代が16.9%、40代が14.3%、50代以上が7.5%、答えたくないが3.4%でした。

性別

性別は女性が71.9%と多く、通常のこえサーチより更に女性の比率が多かったです。

自傷行為の経験はありますか?

自傷行為の経験がある方は67.2%で、3人に2人は経験があると回答しています。

自傷行為の経験年数

自傷行為の経験年数は最も多いのが2~5年で39.3%、次いで1年以下が28.7%ですが、6~10年が14.7%、11~20年が10.9%、21年以上も6.3%で、6年以上の経験がある人が30%以上となっています。

自傷行為の頻度

自傷行為の頻度は最も多いのが週に数回で28.9%、次いで月に数回が23.2%ですが、毎日の人も15.1%となっています。

自傷行為の種類

選択肢の中で最も多かったのは「刃物で体を傷つける」で全体(651人)の66.8%でした。複数の種類(2~5種類)を経験している人も多くいました。その他と答えた人が144名と多く、それぞれがたどり着いたオリジナルな方法がある様子が伝わってきました。

自傷行為の理由

理由も様々で複数を選択する人が多かったです。最も多いのが「辛い気持ちをすっきりさせたいから」が63.6%でした。また「イライラを抑えたいから」(48.2%)や「自分の辛さをわかって欲しいから」(25%)と生きのびるための手段の理由も様々ですが、「死にたいから」という理由も52.2%と半数以上もいます。改めて生きていることの苦しさ、深刻なつらさがうかがえます。

自傷行為の経験がある人とない人の比較

今回のこえサーチは、自傷行為の経験がある人とない人で、自己評価や人に助けを求めることへの意識などに違いがあるかどうかについての課題意識から、企画がスタートしています。

この後の質問の回答は、「全体」(969名)「自傷行為を経験した人」(651名)「経験していない人」(318名)で比較をしてグラフを作ってみました。

以下は、正式な統計学に基づいた分析をしているわけではないので、シンプルな集計のグラフのみ紹介します。

(1)自分への評価

①私は、自分のことを大切だと感じる

②私は、何をやってもうまくできない

③私は、いくつかの長所を持っている

④私は、人並み程度には物事ができる

⑤私は、後悔ばかりしている

⑥私は、時々、死んでしまった方がましだと感じる

⑦私は、自分のことが好きになれない

⑧私は、物事を前向きに考える方だ

(2)支援者への信頼

①支援してくれる人は、自分の抱えている問題を真剣に考えてはくれないだろう

②支援してくれる人は、自分の抱えている問題を解決できないだろう

③支援してくれる人は、自分の抱えている問題を理解してくれないだろう

④支援してくれる人が、自分の期待通りに答えてくれるかどうか、心配になる

⑤他者に助けを求めると、自分が弱い人間と思われそうである

⑥支援してくれる人は、相談内容についての秘密を守ってくれないだろう

⑦他者に助けを求めると、自分が能力のない人間だと思われそうである

(3)困った時に助けを求めることについて

①問題解決のために、一緒に対処してくれる人が欲しいと思う方である

②問題解決のために、他者からの適切な助言が欲しいと思う方である

③直面した困難な問題について、誰かに話を聞いてほしいと思う方である

④困難に直面するたびに、まわりの人に助けられながら、問題を解決していく方である

⑤他者の援助や助言は、問題解決に大いに役立つと考える方である

集計をして感じたこと

死にトリを訪れる人たちは全体的に自分に対して、自信がなかったり、価値がないと思っていたり、物事に対してよくない方向に考えてしまう傾向の回答が多くありました。また、周囲への不信感も強く、助けを求めることに抵抗感やためらいを感じる人も多くいます。そのため、困難に遭遇して、問題を解決する際には、誰かを頼るよりも、自分で何とか対処しようとすることを選択するのだろうと思います。

死にトリというサイトの性質上、そう思うことは自然なことだと思います。また、そう思うことが悪いことではなく、そう思ってしまう背景や社会の課題があると私たちは捉えているので、それを一緒に探りたくて参加の機会を設けています。

今回、自傷行為のあるなしで分けてまとめてみると、自傷行為の経験のある人よりも、経験のない人の方が自分自身への否定感情を抱く人の比率が低く、前向きな思考をする人の比率は高く、周囲への不信感の比率は低く、困った時に周囲に助けを求める比率は高い値にはなっています。(統計学的な分析をすることができないため、それがどれだけの意味があるかは分かりません。あくまでも数値の結果だけの傾向です。)

個人的な感想ですが、自傷行為は辛く苦しい人生を生き抜くためのサバイバルスキルの一つと言われるなど、自分自身を守ろうとする手段だと思っています。

何らかの理由で他者を頼れないとしたら、自分で自分を守るしかなくなり、そのためには必死に守る方法を考えて生存戦略として駆使するのは自然な流れかなと思います。

ただ、本当に死にたいから自傷行為をするという人が半数以上だったのは印象的でした。

それだけ、人が支え合うことの困難さや孤立の深さを感じています。

「困った時は相談して」とか「周囲を信頼して」などと言われることもありますが、人を頼るのは言うほど簡単なことではなく、期待があるからこそ、期待が外れたときの落胆が大きかったり、頼ったことで二次被害を受けること少なくないため、本当に簡単ではないと思います。

死にトリは相談先ではなくサイトなので、積極的に困っていることに対して解決に向けてアプローチをするわけではないですが、参加する皆さんのペースや好みやコンデションに応じて参加の調整をしながらいいとこどりをして、活用してもらえるコミュニティになれたらと思っています。

感想フォーム
一覧へ戻る