こえサーチ

みんなの声を集めたい こえサーチ

第11弾
ヤングケアラーについて


6月10日~6月23日の期間で行ったこえサーチ第11弾「ヤングケアラーについて」に寄せられたみなさんの声をまとめましたので、報告します。
今回は13日間で59件の声が集まりました。
たくさんの方にご参加いただきまして、ありがとうございます!
なお、この結果を無断転載することは固く禁止いたします。

参加者について

こえサーチに参加してくれた方の81%が「女性」でした。これまでのこえサーチでも同じく女性が多くなる傾向がみられています。

年代では20代が最も多く、次いで30代、40代となっています。これまで10代から30代が多い傾向でしたが、様々な世代の方が関心を持ってくれているのではという気がしました。

今回のテーマである【ヤングケアラー】について

今回のこえサーチでは、「ヤングケアラーについて」というテーマを設定しました。

ヤングケアラーとは、厚生労働省によると『法令上の定義はないが、一般に、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている18歳未満の子ども』とされています。障害や病気を抱える家族に代わって家事やきょうだいの世話や看病、アルコールやギャンブル問題を抱える家族の対応など様々なケア責任を引き受けている子どもたちがまだまだ支援が行き届いていない中、どのぐらい身近なものになってきているか調査してみました。

まず、「ヤングケアラーという言葉を知っていますか?」と聞いてみました。(選択式で【知っている】【知らない】【聞いたことはあるがあまり知らない】【よく知っている】の4択)

結果は、【よく知っている】【知っている】を選んだ人が64%でした。回答してくれた人の中の半数以上が知っていましたが、まだまだ広く知られてはいないと感じました。

次に、「ヤングケアラーは、あなたにとって身近ですか?」と聞きました。(選択肢は【はい】【いいえ】【どちらでもない】の3択)

 結果は【はい】が52%で半数を超えていました。次に【いいえ】と答えた人が36%、【どちらでもない】と答えた人は12%でした。

次に、「ヤングケアラーは身近にいますか?」と聞きました。(複数回答可。)

結果は、【自分(過去)】が最も多く29人、次いで【友達】が14人、きょうだい・親戚が12人、【支援対象(教育や福祉の現場で関わりがある)】と【自分(現在)】が11人、自分の子どもが2人という結果でした。やはり、自分が身をもって経験している方が多く、今回のこえサーチは当事者の立場にある人たちが関心を持ってくれたのだろうと推測します。

そして、最後に「ヤングケアラーについて思うことを自由に記述してください(100文字以内でお答えください。)」と聞きました。

  • 「毒親」「機能不全家族」とも密接に関係してると思う。
  • 言葉選びが悪いけれど、自分より他人を優先しなくてはならないのが大変だなと思いました。だけど、尽くせるところは凄いなと思う。
  • 言葉選びが悪いけれど、自分より職場の人間関係に囚われた思考の不自由さ。
  • 私(母)が精神障害者で、娘がヤングケアラー化している。申し訳ないと思いつつ、周りに相談できる相手もおらず家族ごと孤立している状態。負担になるくらいなら早く死んでしまいたい。
  • 生活のためには親や祖父母の介護の手伝いをせざるをえなかった。当時は自分がヤングケアラーだとはわかってもいなかったと思う。
  • ニュースやSNSで見かける度、支援体制が不充分だと感じます。生まれた家次第で未成年が負担を強いられるなんておかしいですよ。
  • 行政による何らかの公的支援が必要だと思う。
  • 基本的に子供が大人の身体的介護をさせられる時に使われてる気がするけど、子供が大人の機嫌取りさせられるのも当てはまると思う…どっちも子供にさせることじゃない…
  • 大変で救いようがない。
  • 同級生がそうでした。とても負担が大きいことをしているのに、本人は自分を責める傾向が強かったことを思い出します。家族は大切にすべきでそれができないのは酷い事だ、という思い込みが社会に強いと思います。
  • 必要とする家族がいる場合、ケアするのは避けられないと思うが、それによって本人の可能性が狭められてしまうのは本末転倒だと思う。好きなこと、楽しいことをして欲しい。
  • 学びの機会が削られ、誰にも相談できず、不登校だと勘違いされて登校した時にもしんどい。学校として何ができるだろう。
  • 家族だから面倒みて苦しく辛いのも当たり前の認識。誰にも相談できなかった。大人に相談できたとしても大人もどうしたら良いのか分からない様子。誰も助けてくれない。自身の年齢的な成長を待ち、自立するのみ。
  • ヤングケアラーもアダルトチルドレンもあまり変わらない。子供でいるのを許されない人たち。
  • ヤングケアラーという造語を作って、困りごとを救おうというより、何か別な意図を感じる。ヤングケアラーの自覚は一定の期間限定の問題事。
  • 悪人からケアラーを救い出すみたいな考え方が嫌い。他受ける人と助けられる人っていう単純な問題じゃないのに、ケアラーって呼ばれるのが嫌だ。ヤングケアラーって言われると親を悪人にされたみたいに感じる。
  • 母は障がいを抱え高齢出産でワタシを産みました。小学校高学年くらいから健康に心配なことが次々起こり、体調がすぐれない時は学校や社会人になっても休むことが度々ありました。
  • ヤングケアラーの全てが不幸だとは思いません。学べることも多いです。しかし、そうでない人と違って、自由に遊びに行けなかったり、勉強する時間が取れなかったり、時に身体的・精神的にとても苦しいのは確かです。
  • 自分の将来よりも妹の世話をしなくてはならないという理由で学校を休んだ子がいました。自分を優先してほしいと感じました。
  • 親が未発達な為、親、兄弟や祖母、いとこの面倒をみたり愚痴を聞いたりして、とても生きることに子どもなのに疲れて、死を考えていました。
  • 好きでやっているならいいが、そのケアをしなければいけない代わりにやりたいことが何も出来ないとなると…軽めの虐待に見えてくる。
  • 家庭の扶養的立場である10代のうちは、自身がヤングケアラーだと気付くことも、ヤングケアラーという言葉を知ることもないと思います。
  • 子どものころ母親をケアしていた気はないが、いつも姉や同級生と比べてり長女の方が可愛いと近所の人に話していた。母はアル中や鎮痛剤のODで救急搬送したりしていた。重荷であった。亡くなった今でも。
  • ヤングケアラーについてはよく知らなかったけど、ネットで調べてみたら、自分でも、ヤングケアラーだということに気づいていない子供もいるということを書いてあったので、大変だと思いました。
  • ヤングケアラーという名称が「ケアラー」本来の意味に対して不本意に感じます。身近にいますが身近ではないと答えたのは、それぞれの状況をひとまとめには考え難く、また身近でない状態を望むからです。
  • 行政が全部助けてくれる訳では無い。結局動ける若者が介護に回って気づいたら歳を取っていて就職が難しくなっていたりする。自分の将来を優先できないもどかしさが苦しい。
  • 思春期真っ最中のなか祖母が認知症になったことで「介護しなければならないけど家に居たくない」という気持ちの矛盾が大きくなり毎日早く死にたいな、なんでうちは普通の家じゃないんだろうなと考えていました。
  • よくわからない。
  • こういった人が就職や進学で困った時に「自業自得だ」(最近よくこの言葉で他人を責める人が多いですね)などと、その人の事を何も知らない人から言われる現状に違和感。
  • 環境だけでなく、自分が頑張らないと、と思う人に役割が回ってくるのだと思います。
  • 家族だからどうしようもない。家族の心身の体調の変化に左右されて計画していたことがお陀仏になることが多々ある。自分も辛くなる。家族が病んだら5年コース、病まないための必死の声かけ。こっちが病みそう。
  • 助けてほしい。抜け出したい。不公平。
  • 自分で向き合い対応すべき問題から逃げて、身近にいる弱くて逃げられない人に押し付けるのは卑怯。どんな事情であれ弱い立場の者や特定の人間が犠牲になることを前提にして生活するのはおかしい。
  • 難病の弟が亡くなった元ヤングケアラーです。「私は介助など大したことはしていない」と、過去の自分を上手く受け止めきれません。私にとっては過去の出来事ですが、その立場にある人々が少しでも救われますように。
  • 学生である子供が勉強などに集中して取り組むことができず、介護など世話をしてあげないといけないという難しいことは、とてもストレスを伴うものだと思う。深刻な問題であります。

今回のこえサーチは、これまでと異なり、国が注目し、調査を実施し報告書を出し、報道で目立ってきたテーマについてあえて聞いてみました。

メディアの報道は専門家や周囲から見える問題性が先行しているような違和感があり、当事者の声を聞いてみたかったからです。同じようなテーマとして数年前から「こどもの貧困」や最近では「生理の貧困」が話題となり、注目されています。

死にトリでは、注目されている課題は確かに深刻で何とかしなければならないとは理解しつつも、その根底の課題はつながっていて、弱い立場にある人たちの権利が保障されない現実がいろいろな形で表面化しているだけだと思っています。また、経験談をはじめとして死にトリに寄せられる声を考えると、まだまだ表面化せずに埋もれている課題もたくさんあると感じています。だからこそ、生きることがつらい、消えてしまいたいという気持ちを持つ人たちが多く、死にトリにもたくさんの人がつながってくるのだろうと思っています。

社会が課題に目を向けてくれたことはよかったと思いながら、表面的、一時的な注目にならずに、根本的な解決に向けて少しでも進むことを願っています。

そんなことを含めて、今回の調査結果を見て感じたことや気になったことを皆さんと共有したいと考えています。もう少し意見を言いたい、感じていることを書きたいと思う方に感想のフォームを用意しました。今、注目されているテーマだからこそ、拾い上げられるチャンスだと思っています。今後のために貴重な意見やアイディアをお待ちしています。

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