終わらない日常


新潟県/21歳/女/実家暮らし


8月15日
お盆が明日で終わる。
昨日、久しぶりに彫刻刀を取り出した。
何十本かのペンと一緒に巾着に紛れ込ませていた彫刻刀。学生時代、よく腕を切っていたが、最近は落ち着いていたし、自分でもしないように寝室とか一人になる場所には置かないようにしていた。のに。今日は寝室に持ってきていて。

お盆はみんなが集まる。姉も、父もわざわざ休みを合せて、取って家にいる。嫌いなわけではない。でも、みんないるってことは、つまり、家にいても私の場所はいつも以上に無いってこと。
いつもいる場所も、私の部屋、ではないから、人が出入りする。それが時々すごく苦しく感じる。いちいち声をかけてこないでほしい。寝てたっていいでしょ、なんで起こすの。仕事だよ、見ないで。何聴いてたっていいでしょ、無理に、私に入ってこないで。つらいの。

みんなと食べるご飯は美味しくない。父親が睨んでいるから。私を、母を、祖父を。ティッシュの位置、ご飯の位置、半強制的な役割分担、盛り付け方…。協力したくないわけじゃない。ただ、気遣いが苦手な私には窮屈に感じる。それだけ。

仕事から帰ってきて、手を洗って、暗い部屋に入る。姉が横たわってスマホを構っている。踏まないように歩いて荷物を置いて、着替えをして、キッチンに行く。働く母を見ながら食事の準備を揃える。父がしていたように扇風機を持ってくる。何かしろ、と咎められる前に次の行動をしつつ母の盛り付けを待つ。ご飯は美味しいのに、食べる気にはならなかった。喉がヒリヒリするのはなんで。食べ終わりが近づいて、ふと、自分の居場所がないことに気づく。姉は、食べたらどうするつもりだろう。向こうの部屋、暗いままかな。私は、食後の片付けをするべきなのだから…。外で猫構ってようかな、と思いながら、立ち、廊下に出る。そこでしばらく動けなくなる。廊下で待つのは得意。タイミングをみて部屋に行く。そんなことばかり得意。

片付けも風呂も終わって、父母とTVを見て過ごす。
夜の9時。父親が母の一言でキレて部屋を出ていく。私は母に、そっと「自分も言うのにね」と言うと母はTVをみたまま「そうそう」と諦めたように言った。下に降りて本を机に戻しに行く。姉に話しかけられる。あんまり興味のないジャンルのPV?を見せてもらう。当たり障りのない感想を伝えて退出。しようとした。
姉の足をまたごうとしたら、思いの外私の足が上がらなかったのか姉は「超痛い」と言った。驚いて「ごめん」というとまた「超痛い」と言われた。私は「ごめん」としか言えなかった。

その後、私はいつの間にか手に持っていた巾着と共に寝室に向かう。寝室に向かう道中でなんだかイライラして、鉛筆を腕に向かって指したらちょっと血が出た。
さっきのことを鉛筆で書き留めていたら(私はモヤモヤした気持ちになったら紙に書き出す癖がある)、急に怒りが湧いて、殴り書きで紙に「しね」と書いていた。その「しね」は即座に自分に帰ってきた。しね、しね、しね、早く死ね、いなくなれ、いなくなれ、…こんなこと普段の生活でもあることなので、その後すぐに落ち着いてきた。

でも死にたい気持ちまでは拭えなくて、なんとなくスマホで死にたい、と検索した。そうしたら、死にたい度診断みたいのが出て、やったらギリギリの人、だってさ。ふーん、まあ、日頃から死にたいとか思ってるんだし、その結果でしょうがないでしょう。今更病院で鬱ですとか言われてもしょうがないし通院とか嫌だし。なんて思いながら、気づいたらおもむろにYouTubeで音楽聞きながら彫刻刀で腕を切っていた。

また落ち着いてきて、血を拭いながら、ふと耳にいつもしてるピアスが無いことに気づく。時刻は0時ちょっと前くらい。薄暗い廊下を歩いて、下の部屋に行くと、姉がまだ起きていた。
あれ?どうしたの、と、聞かれる言葉にカラ返事をして、ピアスを耳につける。よせばいいのに「まだ足痛い?超痛かったんでしょ」と聞くと、「うん。超痛かった」と後ろを向いたまま返事が帰ってきた。姉に貸したパソコンが机に戻っていて、もういい?と聞くと不思議そうな顔で「うん?いいけど?」と言った。お礼も言えないのか、この人間は、といら立ちが蘇る。
早々に立ち去り階段までたどり着く。階段の電気をつけたら、そこからなぜか体が動かせなくなった。ぼんやり電気の光を見上げていた。やがて怒りがやってきて、何度も拳で自分の額を殴った。それから2、3度頭を壁に叩きつけた。頭をぶつけるとドン、と大きめの音がした。自分はいらないやつだ、という考えに体が支配されて、とめどなく涙が溢れた。久しぶりに泣いて、もう一度頭を壁に叩きつける。涙が止まらなくて、声もなく泣いた。階段の下で一人、突っ立ったまま泣いていたら、「Kちゃん?」と 後ろから母に声をかけられた。こんな時間に珍しい、なんて余裕ある思考とは反対に、泣き声なんて聞かれたくなくて「おやすみ」の声に小さい声でうん、と行って部屋に逃げ帰った。

寝室に戻ってきてからは酷かった。声を出して泣いて、感情のまま彫刻刀を腕に刺しまくった。
大した傷にはならないけれど、涙かと思えば血も伝っていたので慌ててティッシュで血を拭った。
姉の言う超痛かった、はどのくらい痛かったのだろうか。これよりもきっと痛かったのだろう、と力任せに皮膚を切り裂いた。「死にたい、私なんていらない、しね、今すぐに」と涙で震えた情けない声が出て、涙が余計に出た。そして、次第に疲れて、何も感じなくなった。

大人になれば普通に明るくて仕事の出来るいい人間になれると思っていた。でも、そんなことはなくて、変われると信じて通った学校は、空気の読み方とか嫌なものに対するスルースキル磨きに終わった。きっと私は、一生このままだ。友達と遊ぶのも億劫だと感じ、楽しげな場面でも死にたさをわすれられないでいる。自傷癖だって、治らない。自分に対する怒りと、生まれてきてしまったことに対しての終わらない償いを繰り返しながら、明日も生きていく。

感想1

経験談を送ってくださりありがとうございます。経験談を読んで、あなたにとって家は休まることがなく居場所がないと感じてしまう要因が多いのだなということが伝わってきました。もしかすると家だけではなくどこにいても気が休まらなかったり、どこか本当の自分を切り離して過ごすことが多いのではないでしょうか。

また、今まで自分の思っていることや感じていることを誰かに話したことがあるか気になりました。やり場に困る負の感情があふれ出てきてしまったり、泣くときに人前では我慢してしまうこと、家族とのやりとりを読むと今までずっと抑圧された環境で過ごしてきたのではと想像していました。そういった中で、自傷行為をしてしまうのは自分を守るために必要なことだと私は思っています。

今は環境的に、感情をうまくコントロールできなかったり苦しさやもしかするともうどこか諦めの気持ちもあるかもしれないですが、物理的にそういった環境から離れることができれば今抱いている感情を少しは軽減されたり緩和されたりするのではないかなと感じました。すぐには難しくても、あなた自身の気持ちや考えを大切にしながら自分のことを優先にしていってほしいなと思います。

もし誰かに相談したり話したりすることが現状できていないとしたら、死にトリのとりコミュやSNS(twitterの鍵垢など)で気持ちの吐き出しをしてみるのはどうでしょうか。

感想2

 経験談を投稿してくださり、ありがとうございます。家では常に、何かをしなければ責められるという不安の中で生活しているのかなと想像しました。父親さんが一方的に決めたルールを強制させられているのは理不尽ですし、母親さんとお姉さんはあなたが気をつかうのを当たり前だと捉えているように感じました。そんな家族の中で毎日生きていくのは、とても苦痛であろうと思います。

 家では気をつかうことやルールを守ることが当たり前で、それが守れないとその人が悪いという文化がスタンダードになっているのではないでしょうか。それは、学校でも当然とされることが多い気がします。でも、法律や条例で決まっているわけでもないのに、それを守らないといけないというのは、なんだかおかしいなと私は感じます。気づかいやローカルルールって本当に必要なのだろうかと、個人的には疑問を抱いています。

 最後の文章で「終わらない償いを繰り返しながら」とあるのですが、償いというのはなんのことだったでしょうか?もっと心境を詳しくイメージするために、教えていただけると助かります。

 あなたは家の中で、かなり張り詰めた状態のまま生活しているのかなと推測しました。もし他の場所で生活すれば少し楽になるのかなと私は思ったのですが、あなたはどう思いますか?

感想を読んでのお返事

・感想1さん
感想ありがとうございます。
貴方が言うように、私には居場所も居場所がないことを話せる人もないです。
話した事は、友人に1度だけ。泣いて慰めてくれましたが、それからは話を聞いてもらうことが申し訳なく感じてしまい、一度きりです。学校も住まいも離れ、今では3年近く話していません。
それから、母には自傷の傷がバレて「何が不満なの?」と聞かれました。いざ話そうとすると緊張して、今でもうまく伝えられずにいます。

感情は確かにコントロール難しいですね。普段は落ち着いていても何かの拍子に簡単に怒りや悲しみに傾きがちです。
私は「負の感情は隠すべき」とか、負の感情に負けてはいけない、と思っていました。でも、感情を殺すのではなく、どこかで発散させたり(出来れば自傷以外で)怒りや悲しみを溶かせるように、ちょっとずつ練習していきたいと思います。


・感想2さん
感想ありがとうございます。
わかりづらい文ですいません。償い、とは私がこの世に生まれたこと、今ものうのうと生きていることに対する償いです。
私は周りの人が簡単に出来るようなことが難しく感じるし緊張するし、社会生活の中で苦手な物事が多いんです(例えば、人前での食事、コミュニケーション、電話対応…)。でも、両親や姉や家族はみんな勉学も仕事も優秀で、そんな中で出来損ないな私は邪魔で恥で隠すべき存在なんだそうです。だから、今もこうして生きていることが、この家の人たちが可愛そうで申し訳なくてたまらないんですよね。
中学生くらいの頃から死ぬことばっか考えていたので、大人になることなんて考えずに生きてきました。でも、ズルズル死ねずに生き続けてしまった。将来の夢や目標なんてないんです。そんな私に出来るのは、生きている間はすこしでも今まで生きた分の償いと恩返し?の為に、死んだあとも残せるお金を稼ぐことです。

一人暮らしは、したいと思ったことあります。でも、生活力はともかく、一人になれたらすぐに自殺に急ぎそうで…。窮屈でも、機会が訪れるまではこのままのほうがいいのかな、とも思っています。
家の中でのルールは、もう体に染み付いててもはや癖みたいです。たまに外でもその癖が出て、「気が利くね」なんて言われて。最近は自分が父親と同じことを人にも強要してしまったらどうしよう、と心配しています。

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最近、私にとって、生きる意味なんてのはないんだな〜って考えるようになりました。
ただ、明日がないって考えるとちょっと怖いな、って。それだけ。せっかく平和な世界に生んでもらえたのに、惰性で生きている私は、罰されるべきなんです。そう思わないと朝起きてご飯食べて会社で仕事、なんて生活は出来ないんです。私には、生きづらいくらいが丁度いいのかもしれませんね。