つらチェックの結果の解説(支援者向け)

つらチェックは、生きづらさを感じている当事者だけでなく、当事者の身近で何らかの支援をしている人たちにも活用していただければと思っています。今回は支援者としての自分の傾向を知るための参考として、支援者向けの解説を書きました。

~支援者としての傾向

「リア充モード」の支援者

元気でポジティブなエネルギーがあり、支援者に向いていると思われそうですが、しんどいハードモードの人にとってはそのエネルギーがまぶしすぎて、より苦しくなることがあります。「リア充モード」と「ハードモード」は掲げている『理想や願望』は似通っているのに、実力や運、環境、素質など『現実』がかなり異なっているのです。「ハードモード」の人にとって自分の理想を兼ね備えている「リア充モード」の人は嫉妬の対象になりますし、「リア充モード」の人は「ハードモード」の人に自分のように頑張れば幸せになれるはずだというメッセージやまなざしを知らないうちに送ってしまうことがあります。それは「ハードモード」の人をよりハードにする要因になりうるのです。また、支援で役に立つことや感謝されることがモチベーションとなる傾向も高いため、誰かを助けることで自分の満足感を得るような罠に知らないうちにはまってしまうことがあります。支援でバーンアウトしたり、必要以上にのめりこんで振り回されたりするのも「リア充モード」の人に多いと考えられます。支援者として成長をしたいと思うのなら「マイペースモード」の人から学ぶ機会をお勧めします。「マイペースモード」の人はあなたの陥りやすい罠にははまらないので、多様性を受け入れざるを得ない機会を与えてくれます。それはストレスを多く感じることかもしれませんが、「マイペースモード」の人への理解や関わりが広がることは、支援者としてのあなたの幅が広がっていると思ってください。

●「イージーモード」の支援者

あまり物事に動じず、重い現実や厳しい状況にある人の話も「そうなんだ」と思って聞くことができるでしょう。聞いたことによるダメージもそれほど受けないことから、ハードモードの人と関わる適任者と言えます。ただ、一見、冷たそうとか感情が薄いように見られる側面もあるかもしれません。また、経験が少なかったり、限られた範囲で仕事をしていたり、外部との交流が少ない場合にはあなたのポテンシャルが生かされず、小さくまとまってしまうこともあります。心のダメージが蔓延し、深刻化する今の社会において、「イージーモード」の人はダメージの経験を受け取り、社会に還元するための媒介ができる貴重な存在と言えます。支援者としての素質を伸ばすためにも限られた人との関わりではなく、幅広く多様な生きづらさを抱える人たちとの出会いや関わりを持ってもらいたいと思います。特にハードモードの人と組むことで相互作用があります。あまり支援者という立場にこだわらず、ライフワークとして長く広く社会的な課題に向き合ってくれることをお願いします。もしも、あなたが支援の仕事をしていない場合には仕事ではなくても身近なところで困っている人たちの話を聞く役割を担ってもらえると助かる人がたくさんいると思われます。ただし、知らないうちに人に頼られたり、やりたくなくても気づいたら責任あるポジションにいたりすることもあり、知らず知らずに無理をしがちです。同じくイージーモードの人の存在があなたの助けになると思いますので、つながりをつくることをお勧めします。

●「ハードモード」の支援者

あなた自身も生きづらさを抱えながら支援の仕事をすることはかなり大変なことだと思います。大変さを自覚している人もいれば、強い使命感や責任感を持って、しんどさを感じないように、あるいは「自分よりももっともっとつらい人がいるから」という気持ちでいる人もいるかと思います。社会全体がハードモードになりつつある中で「ハードモード」の人はその気持ちや背景を自分の問題として捉えることができ、親身に身近にさりげなくよりそうことができる素養があると思います。また、そのプロセスを通じて、あなた自身の問題を理解したり、客観視できたりすることにつながり、回復や成長につながることもあると思います。しかし、逆に支援によってさらに傷ついたり、抑えていたダメージが呼び起こされたりするリスクは常にあるでしょう。時にはそのことで相手にもダメージを与えたり、支援が続けられなくなったりするようなこともあります。「ハードモード」の方が支援に携わることはとても必要で有効ではありますが、リスクもあるということです。リスクを回避するための一つの方法は「イージーモード」の支援者にフォローをしてもらうことです。もう一つは「ハードモード」の仲間のネットワークをつくり定期的なメンテナスをすることも有効です。とは言っても「ハードモード」にもいろいろなタイプの人がいるので、その中でも気の合う人(おそらく、死にトリ診断のカテゴリー分布が似ている人はストレスが少なく、わかりみが深いと思います)とのつながりが有効だろうと思います。
いずれにしても、一人で抱えたり、孤独に取り組んだりせずに、自分のことを理解してくれるチームで支援に携わることが必要なのです。

●「マイペースモード」の支援者

おそらく一般的には周囲からは支援には向いていないとか、仕事ができない人だと思われることが多いと思います。しかし、理想が高くないことや生きづらさが身近にあることは支援に活かせることなので、支援の現場に求められる人材だと言えます。問題となるのは不器用だったり、愛想よくふるまえなかったり、ストレスに弱かったり、苦手やつらさがあることで、一般的な職場で求められる水準の仕事に追い付かないことです。ですから、あなたがパフォーマンスを発揮するためには、周囲に理解をしてくれ、必要に応じてフォローをしてくれる環境を作ることが必須です。それがないとあなた自身も周囲の人も疲弊したり、ぎくしゃくしたりするかもしれません。あなたの持ち味を生かすために環境整備を重視しましょう。それは、支援に関わらずどんな職場でも同じだと思います。マイペースモードですでに働いている人がいるとしたら、環境がある程度整っているか、合っているか、もしくはあまりチームワークが必要とされない仕事なのではないでしょうか。評価や成果が重視される社会において、生きづらさの要素があってもマイペースに自分らしく生きる姿は、生きやすい社会を作っていくためのヒントをたくさんくれるはずです。支援する人にそうしたモードの人がいることも意義があると思います。