親の呪い

神奈川県・30代・無性


無性。30歳。吐き出すような文章になってしまうかもしれないことをお許しください。

自分は一人暮らしを始めて6年になります。
親(特に父親)の支配に耐えられなくなり家出したかたちでの一人暮らしです。

幼いころから父親の顔色を伺って生きてきました。
朝普通だったのに夜帰ってきたら機嫌が悪く、無視をされ続けるなどというのは日常茶飯事でした。なぜ機嫌が悪いのかわからない自分には、ただ父の機嫌が戻るのを待つほかありませんでした。

親は共働きでしたので、帰りが遅くなるときには自分が夕食を作るときもありましたが、帰るなり「いらん。コンビニに行ってくる」などということもありました。

自分が友人と遊びに出かけて帰宅すれば無視をされる。
大学の課題で帰宅が遅くなれば怒られる。(一人暮らしは許されなかったので毎日往復5時間の道のりを4年間通いました)
課題や宿題のために徹夜をしても電気代の無駄だと怒られる。
何が起爆剤になるかわからずに毎日怯えて過ごしていました。
自室にこもっても父のたてる大きな物音にびくびくし、イヤホンで音楽や動画を流し続けることでなんとか気にしないように気にしないように考えるしかありませんでした。

加えて自分はいわゆるLGBTQ、マイノリティと呼ばれる側の人間で、体の性別と心の性別にギャップがあります。
一度伝えてみたことがあるのですが、「病気だから治せ」「人を好きになる努力をしろ」と言われて以来話すことをやめました。

そんな家を飛び出して6年。
少しずつではありますが、父の声、顔などが薄れつつあった矢先。
ついこの間父から手紙が届きました。
暴言が並べられた文末には「今後一切連絡することはない」「骨も拾わなくていい」
事実上の絶縁状のようなものでした。

向こうから今後関わらないというのであれば願ったり叶ったりだというのに、その手紙を読んでしまったばっかりに当時の思い出がフラッシュバックしてきました。
「生きている意味がない」「いい子だと思ったことなんか一度もない」「才能がない」「気に入らない」「お前はおかしい」
わけもわからず怒鳴られて、ただ終わることを願うしかなかった時間。
「なんで俺が怒っとるかわかるか」正解がわかるはずもない質問。
機嫌が悪い時特有の強く扉を閉める音。
かばってくれたことなどなく父の肩を持つばかりの母。

名前を呼ばれるときは必ず怒鳴り声であったためか、自分の名前が嫌いです。
支配する、されるの関係ばかり見ていたためか、夫婦、家族を持つことに憧れがありません。
家が安心できる場所なんていうのは夢物語だ。

折角6年もの時をかけて薄まってきていたことが一気に戻ってきてしまって、自分に価値を見出せなくなってしまいました。
何をしても楽しさがなく、何もしていなくても涙が出てくる。

今まで自分の中で幼い自分が泣き喚いているのを、なんとかあやしていた自分までが「消えたい、消えたい」と泣いているような状態です。

もし来世があるのなら
こんな呪いばかりをかけてくる親ではなく
まともな親のもとに、まともな性別で産まれてきたいと願うばかりです。

感想1
経験談のご投稿、ありがとうございます。
父親さんが投稿者さんを抑圧することができてしまったのは、子どもを家庭というものの中に閉じ込めることが容易にできてしまうような社会になっていることが一因だと思いました。
また、投稿者さんの人格を否定するような言葉や、父親さんの感情を投げつけるような支配(コントロール)があったのだと解釈していますが、その実態や深刻さは、本人以外の人に見えづらく、理解されづらいかもしれないと思います。
投稿者さんは、幼少期から今までの父親の言動を「支配」「呪い」とはっきり書かれていることから、それが自分を人として尊重してくれるものではなく、不当なものだった、というように理解しているのだろうと思いました。私も、ここに出てくるエピソードから、投稿者さんの様々な面での自由が阻害されているなと思いました。そのような環境があり続けながらも、大学生活をこなしたり、家族の夕食を作ったりなどされていて、とてもタフな人なのだろう(無理にでもタフになるしかなかったのかな)と思いました。学校の課題など、自分のやるべきことに打ち込むことで、父親からの支配の影響を少しでも抑えようとしていたのかもしれないとも思いました。
また、家を出て一人暮らしをするのも、かなり苦労して強行突破したのかなと想像しました。それからの6年も、親の支配の影響に苦しんで、少しずつ少しずつ自分の自由を手にしてきたのかなと思います。
私は、投稿者さんがこれまで父親さんなどに否定されてきたこと、自分でも否定するようになっていたことも含め、自分の気持ちやセクシュアリティなどを否定しなくてもいいような対話を、死にトリの場を使って一緒に試していけたらいいなと思いました。

感想2
投稿を読ませていただき、まず投稿者さんが物理的に両親と離れて生活できている状況があることに安心しました。家出という形で外に出ることにも苦労があったのではないかと思います。
どんな理由で怖いことが起こるか予測できず、怯えて過ごすことや、セクシャリティなど自分自身のあり方を否定されることは安心できる生活を大きく脅かすものだと感じます。私は人がどんな価値観を持っていてもいいとは思っていますが、それぞれの人間のあり方を(親であったとしても)他者が決めつけていいことはないと思いました。
「家が安心できる場所なんていうのは夢物語だ」と書かれていて、たしかに、家が安心できなくて困っている人は世の中にたくさんいそうだと思いました。一方で、帰る場所が安心できることは生きていく上でとても大切だと思います。そのためにこの社会になにが必要で、どんなことをしていけばいいのだろうと思わず考えました。ひとつは、家庭が孤立しないことが大切なのかもしれないと思います。困ったときに駆け込める場所があったり、相談できる人がいたり、「もしかするとこうかもしれない」「それは違うんじゃない?」と話し合える関係があったり。それを夢物語にしないために、死にトリではなにができるだろうと思います。
「まともな親のもとに、まともな性別で産まれてきたい」 という言葉に投稿者さんが背負ってきた苦しさを感じました。私は「まとも」でなくても、だれであっても、どんな人であっても、互いを傷つけ合わず生きていける社会がいいと思っています。死にトリの経験談はさまざまな現実があることを伝え合うことができるコンテンツです。現実を知り、困難を知ることで、これからの社会に必要なもの、必要な考え方を一緒に探っていけたらいいと思っています。これからも投稿者さんが参加してくださったらうれしいです。

感想3

 親さんはどうしてこんなに不機嫌なのでしょう。勝手な想像ですが、不機嫌を垂れ流すことで自分の存在を主張しているかのような印象を持ちました。もしも投稿者さんに何かのきっかけをこじつけようとしても、たまたまそこに居たからとしか思いつきませんでした。
 ですから投稿者さんの視点で「呪いばかりかけてくる親」と感じられるのはその通りだと思いましたし、投稿者さんに何かしらの落ち度があるようにも思えませんでした。また投稿者さんにある心と体のギャップについても、あたかも欠陥であるかのように親さんによって思い込まされることにも、私は理不尽さを感じました。
私たちの安全や安心を脅かす自然の猛威も、予兆があったりいつかは穏やかな日常がめぐってくることを知っているから、待ち耐えることができるのかなと思います。けれども投稿者さんの場合は、親さんによる理不尽で不意にやって来る攻撃に、絶えずビクビクしていなくてはならなかったとのこと。
加えて最近届いたという手紙も何を意図していたのか、私には謎すぎます。父親さんに改心が起きて我が子を解き放ってくれるというのならば、暴言の類いは不要だろうと思ったのです。でも結果的には否定的なメッセージしか読み取れない手紙では、投稿者さんのおっしゃるとおり価値を削ぐための次なる呪いをかけてきた、と思わされるのも自然なことだと思いました。
こうして奪われてしまった自由は言葉に表しきれるものではなくて、量も質も甚大だったのだろうと想像しています。またこうして言葉に置き換える作業も、思い出すことだけでも痛みを伴うことだと想像しています。せめてここに吐き出したことで、何かが軽くなったり新しい選択肢ができたりすることがあればいいなあと願うばかりです。
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