強姦未遂の記憶を繋ぐ

10代、女性

強姦未遂の経験談につき注意。私が病んだ原因は他にも色々ありますが、今回は性暴力に焦点を当てます。

今でも思い出して辛くなるけど、誰も彼もが何かを繋いでいくことしかできない以上、私も何かを繋ぎたいと思いました。私はこのサイトに携わる多くの方々に助けてもらったので、誰かの救済の一助になりたいと思いました。

中学校に上がると男女に隔たりが生まれる、というのは周知の事実だろう。幼なじみの彼も例外ではなく何となく距離があった。

ある年の6月頃だっただろうか、彼は私の下校を待っていた。わざわざ待ってたのか、と一緒に帰った。そして「俺と付き合ってほしい」と言われたので、「貴方に今のところ恋愛感情を持っていないけど、それでもいいの?」と訊いた。相手がそれに承諾したから付き合った。実はこの少し前に別の人の告白を拒否していたのだが、それを知ってても告白してきた彼の度胸を信じようと思ったのだ。

それから、一緒に下校するようになった。彼はいつも私のことを待っていて、私が来ると嬉しそうにするのだった。どうしてそこまで喜ぶのか分からなかった。私には友情と恋愛感情の違いがよく分からなかったのである。まあ、とにかく一緒に帰って他愛もない話をしたのだ。その代わり学校では話さなかった。恋人がいることを公言していたが、お互いに誰とは言わないということにしていた。

彼はある日の下校デート中、「中学生のカップルって普通にキスとかするらしい」と言ってきた。確かに、少女漫画ではそういうシーンがあったが、あれはフィクションだし、付き合ってすぐしていいものではない気がした。だから「そういうやらしーことは、もう少し大人になってからがいい」と拒否しておいたのだが、返ってきたのは「えっ?やらしーことかぁ」という言葉。そこで思った、「この人、ちょっとヤバいのでは…」と。ちょっと焦る中、いきなり後ろから抱きしめられた。仲は良いので嫌悪感はなかったのだが、普通に重い。「重いって!」と言った。離してくれた。この日はこれで終わったのだが、私としては「もしかして、このままだと流されて変なこととか無理矢理されるかも…」という思いだった。そしてこの予測は当然ながら当たるのである。

その日の下校ルートは私の通学路だった。「日が浅いのに、って思うかもしれないけど、友達に戻りたいな。なんか違う気がするんだよね」と彼に切り出した。「変なことしそうで怖い」という理由を言うと刺激しそうだったから言わなかった。その後の話は公民館裏でする、ということになった。私のお気に入りの場所の1つだった。秘密基地みたいな、誰も来ない秘密の空間だったのだ。

公民館裏に着くと彼は私を抱き寄せた。拒絶した。「こんなのでも、ダメなの?」と訊かれる。「許可ぐらいとりなよ」と言い返す。自分はよく「本当の気持ちを言わないね」と言われるのだが、こういうときは結構はっきり言う。「この人なら安心だな」って思える異性になら、いきなり抱きしめられても困惑する一方わりと嬉しいだろうが(乱暴にする目的ではなくて愛の表現だから)、彼には警戒心を抱いていたため、シンプルに嫌だったのだ。そして彼は衝撃的な一言を言う。「別れる前にキスさせて」

この前拒否したのを忘れたのか、この男は。「えっ…嫌だ」と言った。無理矢理してくるぞ、と思い逃げようとしたら襟に指を引っ掛けられて、そのまま下に倒された。コンクリートだから痛い。痛いけどそんなこと気にしている場合ではない。「痛いよ」「離して」「したくない」「嫌だってば」と、拒否の言葉を並べた。彼は気にもとめずに、私を抵抗できないよう組み敷いた。

頭の中には何も無かった。虚無だけ。「キスだけで済まないだろうな。妊娠したくないなぁ」「初めてだし、せめて優しくされたかったなぁ」という思いが過ぎった。焦りはないけど、逃げなければという思いはあった。

とにかく抵抗を続けた。しかしほとんど意味はなく、絶望感がすごかった。小学生の頃は力の差なんてそこまでなかった。でも中学生になって力の差が明確になった。身長体重での差も大きくなった。馬乗りになられてすごく苦しかった。上手く息ができなくて、男の人ってこんなに重くて強いんだなって思った。分かっていなかった。分かろうとしていなかった。分かりたくなかった。男子とお話しているだけで茶化されることにうんざりしていた。面白いからいいじゃん、面白いことに性別なんて関係ないじゃんって思っていたのに、世間的にも身体機能的にも男の子というものは別の所へ行ってしまったらしい。押さえつけられた手首が痛い。私の手首は彼にとっては細いみたいだ。

「もっと過激なことする?」

言わずもがな、拒否である。

「お前の裸が見たいんだ」

欲望を持つのは自由だが、私はそれを実現する気はない。

「意味が分からない」

「興奮するから見たいんだ」

返答なんて私は求めたつもりはない。

彼に触られた。助けてって叫べなかった。してはいけないことをしている気がした。見られてはいけない気がした。

触られたといっても少しだけだった。私は口でも身体でも抵抗し続けていた。時が経ち辺りが暗くなってきた頃、私は「この人、まだ少しビビっている」ということに気がついたので思い切って賭けに出た。

「もう好きにしてよ」

彼は固まった。

「どうせできないでしょ。やめたら?」と言うと彼は離してくれた。彼は「別れても友達のままでいてくれる?」と訊いてきた。文句はあったがとにかく家に帰りたくて当たり障りのない返事をして帰宅した。家で泣いた。吐き気がひどかった。「私は汚れてしまったのかもしれない。そもそも私は人に迷惑かけるから死にたいって思ったのに、結局男に求められたら拒否しちゃうんだ…」と自分を責めた。当時の私は行為の意味をちゃんと理解していなかった。でもしてはいけないことで、大人たちが隠してる良くないことだっていうことは分かった。性別なんてなければいい。男の人に守られなくても生きていけるように、強くなりたかった。男性と対等でいたかった。

こういうことがあったからといって、彼との楽しい思い出が消えるわけではない。だから恨めない。嫌いになりきれない。どんなに相手がクズでも、私の場所を汚しても、彼は私の中では幼なじみで他人ではない。仲良しグループの一員だから、親しい友達に相談できなかった。友情を壊したくなかった。私は彼に誠意を持って接していたつもりだった。人間関係において、同様の誠意を求めることは間違っていたのだろうか。

もしも親や先生に縋っていたら、助けてくれたのだろうか。同級生にバレて憐憫の目や好奇の目を向けられたくなかった。騒がれたくなくて、黙っていた。私がいけなかったのだろうか。着いていかなければ良かった。でも、分からなかった。セックスについてちゃんと知らなかった。男の人は性欲というものに囚われて行動することもあるってこと、よく知らなかった。

保健の性の授業では倒れた。記憶に欠落があるのに、そういったものを受け付けなくなっていた。驚くほど性というものに探究心を持っていなかった。教科書さえ読めなかったのだ。でも少しずつリハビリをしようと思っていい感じの少女漫画を読んだり、保健の教科書にチャレンジしたりと色々頑張って、常人並には性的なものに触れられるようになったと思う。でも抵抗はまだある。

後に彼には「冗談だった」と言われた。「好きだったから」って言われたほうが傷つかなかった。「好きだって言っても、言い訳にしか聞こえないから」と言っていたが、それでも好きだと言ってほしかった。

恋愛に対して積極的な気持ちを持てない。でも私は羨ましいのだ。悲しくてもいいから、そこまで感情を揺さぶられる体験をしてみたいのだ。

私は行動をし始めた。やれることをやりたいのだ。私には恋が分からないままかもしれない。或いは幸せなセックスは分からないのかもしれない。好きな人と心も体も結ばれる喜びを知ることはないのかもしれない。恋や家庭に希望を持てないままかもしれない。それでもいいから救われたい。救われなくても誰かに繋ぎたい。

男性は女性に優しくしてください。痛くしないでください。乱暴にしないでください。すごく怖いんです。抵抗してもどうにもならない絶望感を貴方は味わったことがありますか?男性の皆さん、付き合った相手と事に及ぶときは、いっぱい褒めてください。初めての場合は不安だし怖いんです。初めてじゃなくても、可愛いとか綺麗だよとか好きだよとか、そういうことを言われるだけで女の子はすっごく、本当にすっご〜〜く嬉しいんです。勿論女の人も男の人に優しくしてください。かっこいいよとか言ってください。楽しんで幸せになってください。でも無責任に子どもは生まないでください。子どもは親とは別の人格です。たとえ結婚が妥協まみれでも、どうか、幸せにする覚悟ができてから生んでください。これは男女のことだけではありません。単純に、人間としてそう在ってほしいと願っています。

閲覧ありがとうございました。最後まで読んでもらえて、とっても嬉しいです。

感想1

経験談を読ませていただきました。社会の中で沢山起こっているのになかなか表に出ずらい経験談だと感じました。この経験談を読む誰かに繋ぎたい想いで投稿してくださったことに率直に敬意を抱きました。投稿してくださりありがとうございます。

性暴力を経験してしまった人が、どうして周囲に言えないのかやその後に与える深刻な影響についても書いて下さり、1人で抱えざるをえなくなっていること、ダメージから回復や成長をするために被害にあった人が苦しみながら努力しなければならなくなっていることが私には伝わってきました。

また、被害にあった人の長い苦しみとは対照的に、加害した人は軽く考えて全く向き合っていないように私には感じられ、どれだけのダメージを与えたのか認識もしていなさそうなことに私は理不尽さを感じるとともに性暴力問題の構図としての深刻さを改めて感じました。

投稿者さんの経験談を読み、私は改めて性に関する自己決定権を侵害してはならない(社会化のためにあえて難しい言葉で表現させてください)という意識が大切だということを感じました。社会の中では男性が女性の性に関する自己決定権を軽く扱う傾向があるように私は思いますが、きっと男女ともに自己決定権を尊重することが社会にはもっと必要ということなのだと思いました。

感想2

つらい経験を、そして投稿者さんの強い気持ちを教えてくださりありがとうございます。「繋ぎたい」という気持ちで発信してくださったのだと思います。そのことがよく伝わってきました。

投稿者さんが言語的に明確に表現し発信していることを、相手の男性が蔑ろにする描写が続き、憤りを感じました。また、この状況ではなかなか言葉で伝えることがむずかしいことが当然あると思いますが、投稿者さんがなんとか伝えようと努力していたのだろうと想像しました。

私は個人的には性別ってなんだろうと思うことがとても多いです。男性だから、女性だからという一括りにすることで生まれている不都合がたくさんあると思うからです。ただ、フィジカルな面での違いに、女性(と呼ばれる存在)として男性(と呼ばれる存在)に圧倒されることもあり、だからこそ違いがありつつも対等であることや、それぞれが別の感情を持つ存在だということが、もっと知られる必要があると感じます。

投稿者さんが持っている、自分を大切にしたいという当然の気持ちを裏切られ、「対等でいたかった」という気持ちを大切にされなかった現実が、どれだけ投稿者さんを苦しめただろうかと思います。投稿者さんはその状況にも向かい合い対処しようとしてきたのだと読んでいて感じました。そこに投稿者さんの、感情を傷つけられながらも、理性的に考え行動しようとしている強さをひしひしと感じました。その強さがだれかに利用されたり付け込まれたりすることなく、この世の中に発信されることで、少しでも、人の心の中に変化があることを強く願います。

感想3

全て分かったとは言えませんが、投稿者さんの繋ぎたい記憶についてのお話を受け取りました。ありがとうございます。

投稿者さんの「繋ぎたい」という思いは、誰かに(できるなら自分にも)幸せな経験をしてもらいたくて、そのために自分の経験や感じていることが寄与するならそうしたい、という純粋な望みなのだろうと思いました。

私は、相手に好意を持っていても、していいこととよくないことがあると思います。でも、それを大人から子どもへ教えていくのは、簡単なことでもないのかな…と思います。子どもたち同士で経験を通して学習していくのにも、ある程度は大人から正しい知識を伝える必要があるように思いますが、特に性に関しては、それが十分できているとは言い難いのが現状だと思います。

また、残念なことかもしれませんが、誠実に人と接しても、相手から同じような対応が返ってくるとは限らないと、私の経験からも思います。誠意を欠いた行動だけを取ってみれば、それはよくないことだけれど、背景には教育の歪みや社会の余裕のなさなど、多くの課題があるのだろうと想像します。

恋やセックスについての捉え方や感じ方は人それぞれ違っていて、何が正解というわけでもないのだろうなと思います。不安や抵抗を感じるのも、自然な感じ方の一つだと思います。ただ、恋愛感情や性的な興味関心を理由に、誰かにとても怖い経験をさせるのはいけないことだと、経験談を読んであらためて思いました。