ここチャット「ルールって何のためにあるのだろう」実施レポート(2021/07/27)

2021年7月27日は「ルールって何のためにあるのだろう」というテーマでここチャットを実施しました。参加者は3人でした。

初めに、2つの質問に答えました。

■自分が「これは守っているな・守るべきだな」と思うルール
この質問には以下の回答がありました。

  • 違法サイトなどで誰かが作ったものを不当に享受しない。できるかぎり…。
  • 信号
  • 万引きしない
  • ごみの分別
  • 自分がされて嫌なことは人にしない

■自分が「これは従いたくないな・従えないな」と思うルール
この質問には以下の回答がありました。

  • 一夫一妻制
  • 夫婦同姓
  • 現代日本にはないけど徴兵制とか?
  • 「髪ゴムの色は黒か紺か茶色」という校則もいやでした。
  • スマホ禁止
  • 列に並んで電車を待つ
  • 男は仕事、女は家事
  • 男尊女卑
  • 転職は逃げ、甘え
  • 何歳までに結婚、結婚したら子どもをもうける
  • 結婚してる人は勝ち組、独身は負け組などなど

ルールのグラデーション

これらの答えを見て「ルールと一言で言っても、強制度がいろいろあるのかな」と考える人がいました。

「ルールってどこからどこまでか微妙」と考えて「明文化されていなくても何となくそうしないといけない空気とかもルールなのでしょうか…」と書く人もいて、「はっきりルールとして確立されてなくても暗黙のルールもたくさんあるのでは?と私は感じています」と返す人や「空気もルールだとすると、私はそのルールは全然守っていないです…(笑)それが悪いとも思わないですし…」と返す人がいました。

また、このやり取りを受けて、「さまざまな価値観を見直す機会がないまま強固になり、広がっていくと、ルールのようなものになるのかな」という書き込みもありました。

成文法と不文法

「明確に制定するタイプのルールと制定しないタイプのルールがある?」と考える人がいて、「成文法と不文法でしたっけ…」という返信がありました。
「しにたいといってはいけません」という言葉のように、「法律はないけれどタブー視されていること」もルールといえるのだろうかと検討する人もいました。

ルールの適用範囲について

「自分だけのルール、家のルール、学校内のルール、近所のルール、社会全般のルール、国際条約、のように、ルールが適用される範囲の広さも色々ありそうです」と考察する人がいました。
「一対一の約束も、ルールなのかな」「個人同士の約束や契約もその間ではルールかも」「マイルールっていう言葉もあるから一人でも成り立つのかな」と考える声がありました。

マイルールにがんじがらめ?

またマイルールについては「強くなりすぎると強迫的な感じになることもあり、それはルール主体なイメージ」と考える人がいました。
この投稿に対し、他の2人から「私はマイルールが多くてそれにがんじがらめになってます」「私もマイルール多めです(笑)けっこう日々更新されます」という返信がありました。

また、マイルールが「日々更新される」という言葉について「更新される、というのは増えるのですか?」という質問があり、マイルールがある2人からは「『自分がやりたいようにやる』がそのままマイルールになる感じです。やりたいことや方法が変わったら、ルール変更です」「私の場合、更新される=増えるという意味です」という返信がありました。

ルールを守るのが苦手なタイプ

一方で、マイルールはひとつもなさそうだと言うもう1人の参加者からは「私は衝動性が強いこともあり、ルールを守ったり法則通りに動くのはすごく苦手なので、自分がやりたいようにやることが前提なのですが、そのときに誰かをなるべく困らせない指標というくらいの感覚でルールを使っている気がします」と、違う立場からの書き込みがありました。

また「ルール作っても忘れちゃうし、その瞬間に思いついたことをやっちゃうので、ルールを守れない」ということや「会社の定時勤務とかも無理」ということのほかに、「ルールを破りたくてそうするわけでなく、単に守れないので、守れる約束しかしないようにしようと気をつけています。これはマイルール…かも?」という考察の書き込みもありました。

ルールの適用条件

マイルールがある参加者から、マイルールがない参加者へに「羨ましく感じる」という声があったことから、「ルールがあって困ることもあったりするのかな?」という質問が出ました。これについては「どれだけ体調が悪くても洗濯物の部屋干しはダメだ、外に干さなければいけない!」などのルールに困ることがあるという返事がありました。

この書き込みから「『○○の場合は××する』などの場合わけをするのではなく『どんな時でも××する』って感じですかね。体調とか状態は移り変わるものだから、無条件なルールがあると不自由はあるんだな、と理解しました(でも条件を分けていくと、それはそれでルールの管理がめんどくさそう?)」という考察がありました。

ルールがあることのメリット

ここからルールのメリットについて議論を深めていきました。
まず「いちいちどうするか考えなくていい」ということをメリットとして挙げる人がいました。

これに対し、「ルールがあることのメリットを考えたことがなかったです!」「ルールをつくるメリットが全くなければ、そのルールは不要というか、ただの拘束にしかならないのかなって思いました」という感想を書く人もいました。

また「最初に、守っている・守るべきだ と思うルールとして挙がったのは、メリットがあると思っているからなのかなぁ」という問いかけがありました。
これに対して、「違法サイトなどで誰かが作ったものを不当に享受しない」と書いていた人からは「私は『人を不当な扱いをしたくないし、じぶんもされたくない』という価値観があって、それを守るために適していると納得できる法律なので、著作権侵害はしないようにしようと思っています」という返信がありました。

また、「自分がされて嫌なことは人にしない」と書いていた人からは「相手にも不快な思いをさせたくないのももちろんですが、自分も不快な思いをしたくないです 」という返信がありました。

「同じルーティンをこなしていると安心する、みたいな話をきいたことがあるのですが、ルールとそれは近いのでしょうか?」という問いかけがあり、これに対しては、「例えば、ごみの分別方法が毎週変更されたら、ルーティンにできないし安心もできませんが、実際はそう頻繁に変更されないので、いつも同じようにやればいいし、たしかに安心感につながっていることはありそう」という返答がありました。

さらに、ルールのメリットを考えるなかで、「極端に言えば、だれかが攻撃してきたり、不当な扱いをしてきたりするかもしれない状況よりは、お互いをルールで縛ったほうがいいという考えもありそう」と言う人がいました。

「私は、例えば『戦争をしてはいけない』というルールがあることでの安心感はあるので、最低限の縛りはあった方が、お互いいつ攻撃されるかビクビクしなくていいのかもしれませんね」という返答がありました。

また、今回の対話を通して「野生的な攻撃にビクビクする緊張状態でなく、安心して過ごせる時間が多くなることは、言葉があって共通のルールを持てることのメリットなんだな」と感じる人もいました。

ここまでの話から、ルールのメリットを以下のようにまとめられそうです。

■ルールのメリット

  • どうするかいちいち考えなくていい
  • ルーティンにできる安心感がある
  • 攻撃にビクビクする緊張状態でなく、安心して過ごせる時間が多くなる

ルールの見直し

最初の「自分が『これは守っているな・守るべきだな』と思うルール」という質問で「信号」と答えた参加者から、「私は、自分がメリットを感じて守っている社会のルールは、他の人も守ってくれると信じたい気持ちがあります。信号を守らない人がいるとやっぱり困りますし…」という声があがりました。

これを聞いて「それはそうだと思いつつ、その『困る』をお互いに解消するには、ルール自体の見直しや、ルールの守り方の見直し?など何かできることがあるのかな、と考えていました。私はルールを守るのすごく苦手だけど、困らせたいわけではないし、多数派のルールに合わせられないからと言って排除されたいわけでもないなぁと思うので」と考える人がいました。

ここまでの議論から、ルールの発生を「大体は守ることで少なくとも誰かにとってはメリットがあるから生まれる」と捉え、ルールによって困る状況を「ルールが守られていない(形骸化)」と「ルール守るメリットがもうあまりないのに残っている」と分類する人がいました。

この考えをもとに「ルールを必要に応じて、ルールを守らなければいけない人が検討して、見直すことができたらいいのかな?」という意見が出たことから、ルールの見直しについても話し合いました。

「ルールを見直す(=新しいルールを作り直す?)メリットを感じる人が複数いれば、見直しできそうです」と見直しできるの状況について考える声もありました。

また、見直しのしやすさはルールの範囲によっても違い、「一対一の約束やマイルールの方が、社会全体のルールよりも、気軽に見直ししやすいのかな」と考える人もいました。
その理由として「自分一人が、『このルールはおかしいのでは?』と思っていても、他の人たちが当たり前に守っていて、変える必要性を感じていなかったら、見直しは難しそう……」と書いていました。

これを受けて「自分や近くの人とのルールなら、ルールを作る時点で、『見直しができる』みたいなルールが入っているといいのかも」と案を出す人もいました。

また、ルールの見直しだけでなく、「環境を改善すれば、ルールが要らなくなってしまうことだってあるのかも?」と考える人もいました。

「『押すなよ、絶対に押すなよ』→押したくなって押しちゃう、みたいなのは、ギャグだけど、言う相手の性質を理解してないから起きるトラブルなのかな」とイメージして、ルールのメリットがある状態でいるために「人はそれぞれどんな性質があって、どんなことがやりやすくて、どんなことはやれなかったりするのかも、お互いに理解する必要があるのかな」と考察する人もいました。

参加者の感想
ルールに対してはがんじがらめになって窮屈なイメージもあったし、納得できないルールが多いとも感じている。けれど、ルールのメリットを話し合ったりしているうちに、納得できないままとにかく守ろうとすることが大事なのではなく、必要に応じて再検討しながらアップデートしていけるルールなら、安心した生活にとても大切なものなのだとわかった。そのためには、ルールを守る立場の人が自分たちのルールを決めたり直したりすることが難しくない状況になる必要があると思った。ただ、その時々の短期的な判断では間違えてしまうこともあるから、どうやって決めていけばいいのかは、これからまた考えたいと思った。
マイルールにがんじがらめにされてる自分にとってルールを守ることのメリットはなんだろう?と考える機会になりました。メリットデメリットを考えることによってマイルールを減らしていけるのではないか?自分の心の負担を減らしていけたらと思いました。
ルールがあることのメリットだけでなくデメリットも出てきて、両面を知れた。環境が変化すると、ルールを見直す必要が出てきたり、ルールが不要になったりすることもあるのではないか、という話に納得した。でも、一人でルールを変えるのは難しくて、そのルールを必要としている人(ルールの恩恵を受ける人)たちが、お互いのできること・やりたいこと、できないこと・やりたくないことを話し合って知ってみないと、実際に守られて安心感につながるルールはできなさそうだなと気づきました。自分だけのルールや、誰かとの約束もルールなのだと話していて、ルールは堅苦しいものではなく身近なものだと感じた。もっと気軽にルールの話ができたらいいと思う。