東京都・埼玉県  山田詩織さん


みなさんこんにちは。根本さんからバトンを受け取りました。東京や埼玉でスクールソーシャルワーカーをしている、山田詩織です。

スクールソーシャルワーカー(SSW)は、最近徐々に増えてきている職業なので、まだ知らない方も多いかもしれません。

主に、学齢期の子どもや、保護者、先生が悩んでいることを一緒に解決する仕事です。

どんな悩みかというと、例えば、

学校に行けなくなって不安だったり、

孤独で居場所がなかったり、

家庭でトラブルが起きているために安心して過ごせなかったり、

お金がなくて困っていたり、

学校とのトラブルで第三者の介入が必要だったり、

支援機関や制度につながりたいけど情報がなくてよく分からなかったり…

そんな時、

まずは話をじっくり聞いて一緒に考えたり、

状況が改善するように一緒に動き回ったり、

自分では言いにくいことがあれば、代わりに伝えたり、

色んな支援者や制度や支援機関につながるサポートをして、一人ひとりの応援団になるようなネットワークづくりをしたりしています。

…とはいえ、そんな堅苦しいことばかりではなく、ほとんど子どもたちと趣味の話をしたり、一緒に遊んだりしているかもしれません(笑)


スクールソーシャルワーカーは、

教育委員会から学校の要請で派遣されたり、学校の職員室にいることもあります。

スクールカウンセラーとの違いが分からないと言われることもありますが、

カウンセラーは心の悩みを中心に扱うことに対して、

ソーシャルワーカーは環境面の調整によって、生きづらさのある状況を改善し、少しでも自分らしい生活を送れるようにと働きかけることが多いです。


なぜ私がスクールソーシャルワーカーになったかというと、

問題は個人のせいで起こるというよりも、環境との相互作用によって起こっているという考え方がしっくりきたからかもしれません。

誰が悪いのか、何が原因なのか…というのは考えても考えてもきりがないし、思い詰めると、自分を責めて辛くなるばかりですよね。

今の社会は、自己責任を押し付けて排除していたり、個人にもっと努力しろと言い続けたり、できる人とできない人に分けて比較したり…とても生きにくい社会だと思います。

また、現在普段会っている子どもたちや、その周りの大人たちも、みんな過酷な状況にあったりして、生きているだけですごい…と尊敬するような人ばかりです。

そのような人たちに、これ以上頑張れとは言えません。

このような困難が生まれてくるのは、社会の問題だ。みんなをサポートする、つながりや制度や資源がないならつくる必要がある。だから、社会を変えることにフォーカスしていくべきだと思っています。


そんな強そうなことを言っている私ですが…

私自身も昔は、何かあれば自分の性格が悪い、誰かに迷惑をかけてしまう自分は悪い子だ、そんな自分なんて消えちゃえば良いんだと、ずっとずっと思っていました。

自分の心を、自分自身で痛めつけて傷つけ続けていて、心は大怪我をしていたのだと思います。

大きな怪我が見えていれば、誰か助けてくれたかもしれませんが、目に見えない心の傷だったので、誰も苦しさに気づいてくれません。

また、私の性格も強がりで、「相談したら負けた気がするから嫌」とか、「大人なんて子どもの世界のことはどうせ何もできない」とか、「言ったってどうせ変わらない」と思っていた気がします。

そんな中、中2の頃に偶然、心の恩師と出会うことができました。

その人は、ボランティアで陸上競技のクラブチームをやっている50歳くらいのコーチでした。

陸上競技で強くなりたくて、心の底から勇気を振り絞って、誰も知り合いがいないのにも関わらず、一人で突然クラブの練習に参加させてもらいにったことがきっかけでした。

練習に参加していく中で、

陸上競技にはメンタル面も影響することから、学校生活や家庭でのことを色々気にして、定期的に聞いてくれていました。

私は自分からは相談できない子どもだったのですが、本当に困って絶望しているタイミングで、不思議とコーチから夜に電話がかかってくることがありました。

「そろそろ困っていると思って」

「ふとあなたを思い出したから電話してみた。」テレパシーでもあるのかなと思っていました。

自分からは相談できなくても、困っている時に向こうから聞いてもらえたから、色々モヤモヤを吐き出すことができました。

「そんなに辛いなら、学校行かなくていいよ。必要なら、親にも言ってあげるよ。いつでもここにきたらいいよ。全部面倒みるから。」

「いつも頑張りすぎていると、人生で本当に頑張りたい時に頑張れなくなっちゃうから、今は無理しなくて良いんだよ」

「今周りと合わないのは、あなたは何も悪くないんだよ。ただ、周りの精神年齢が合わないだけ。周りが50歳くらいになったら、あなたの深さや良さに、やっと気づいてくれるんだろうな…」

と言ってくれて、自分が全部悪いわけじゃなくて、環境がたまたま合わないだけなんだって思うことができました。

あの頃は、自分のことが大嫌いで、自分が変わっている、自分の性格が悪いってずっと思い続けて、どうしたらマシになれるのかをいつも探し続けていたように思います。

どうしたら性格を変えられるのか、アドバイスをもらおうと思って聞いたら、「そのままでいい」って言ってもらえた。そのことを今でも覚えています。そして、そのクラブチームは今でもずっと、心の居場所です。

今考えれば、当時の自分はとても生きづらさを抱えていたのに、学校内で相談できた大人は全くおらず、自分からつくった奇跡的な出会いによって何とか生き延びられたということです。それって、裏を返せば、とても恐ろしいことではないでしょうか。

生きづらさを抱えた子どもは、偶然ではなく、必然的に相談できる大人との出会いが保障されてほしいのに…。

ただ、子どもが信頼できる大人を選べることも大事だとも思います。それが先生かもしれないし、カウンセラーかもしれないし、用務員さんかもしれないし、ソーシャルワーカーかもしれない。

だから、その選択肢を増やすための一部になって、そばにいさせてもらえたら嬉しいです。困っていそうな時は、相談に来るのを待っているのではなく、こちらからもさりげなく声をかけさせてもらえるくらいの近さで見守れる距離を心がけています。


私自身は、その後の人生でもたくさんの素敵な出会いや環境のおかげで年々丸くなってきている気もします。でも、未だに頑固な部分も残っています。結局、本当に人生で一番困ったりすることほど、相談できなかったりします。

逆に、支援者として、クライエントの相談にのりながら、「すぐに解決しないことでも、相談してみて良かった」「話を聞いてもらえただけで心があったかくなった」ということを言われて、ああそうか、どうにもならないことでもただ話すだけで生き延びられるんだよな…とクライエントから教えてもらうこともたくさんあります。

以前よりは、自分自身に対してやっと優しくなってきたかもしれません。

辛いことがある時には、「こんなに生きづらい性格してるのに、今日も生き延びている自分偉すぎる」とか、

仕事でうまくいかなかったときにも、「今日は仕事に行っただけで偉い、よく頑張ったねえ」とか、わざと自分の心の中で呟いてみたりしています。

まだまだ自分の弱さや悩みを公開するのは苦手ではありますが…

私自身も少しずつ自分の心の扉を開いて、まわりに発信していきたいと思います。

そして、自分だけを責めずに、どうしたら自分もみんなも生きやすい社会になるのかを考え続け、発信し続けていきたいと思います。

みなさんとも一緒に、社会を見つめていけたら嬉しいです。


※写真は、旅が好きなので、ミャンマーで撮った野生の猿にしました。